衆議院で予算審議が始まりました。国の平成28年度予算は一般会計の総額で過去最大の96兆7218億円で、麻生財務大臣は予算委員会での趣旨説明で「経済再生と財政健全化を両立させながら、一億総活躍社会の実現をはじめとした重要課題に取り組むための予算」と説明しましたが、2月3日から3日間の全閣僚が出席した基本的質疑の初日のやりとりは国民を失望させるに余りある酷いものでした。ここ数日、北朝鮮のミサイル発射予告や中国経済の減速による株価の急落、日銀のマイナス金利導入など、国内外の情勢は大きく変化しており、日本の国会での議論には国内のみならず世界中が注目していたはずです。しかし、民主党を初めとする野党の質疑のほとんどは辞任した甘利経済財政担当大臣の政治資金問題や後任となった石原国務大臣の過去の発言などに終始したため、北朝鮮に対する制裁方針やアメリカのTPP批准先送りなどに対する一連の政府対応が国会ではなく内閣官房や省庁の報道発表で示される結果となり、夜のニュースでは「北朝鮮のミサイル予告」「清原逮捕」「米国大統領予備選」と続き、国会質疑の内容は4番目、ごく短いもので注目度も低いものとなってしまいました。日本銀行によるマイナス金利導入は、収益悪化が懸念される銀行の国債購入を拡大させる可能性が高く、必ずしも企業への貸出増加を促進するとは限らないと指摘するエコノミストは多く、北朝鮮の水爆実験やミサイル予告による緊張の高まりへの政府対応にも関心は高いと思います。政治家の疑惑追及は必要なしとは言いませんが、明らかに法に反すると言うのであれば捜査当局に告発すべきです。本会議や予算委員会の場で質疑時間の半分以上を政治家の資質や過去の行動を云々する議論には嫌悪感さえ覚えますし、政党活動としてプロジェクトチームまで設置する必要があるのか疑問です。国会議員の皆さん、もっとやるべきこと、言うべきことがあるのではありませんか。