北朝鮮は1月6日、「初の水爆実験」とする4回目となる核実験を行ったと発表した。公然と核保有を宣言し、着々と核武装に向かう若き独裁者率いる隣国の脅威は増大する一方であり、韓国では、北朝鮮の核に対抗し自らも核武装すべきだとの意見が一気に高まってきたと報道されている。
 今回の北の核実験によって「核ミサイルによる攻撃」が現実の脅威となる中で、韓国の動揺は「とてつもなく大きい」ものがある。それが、緊急調査での60%超える核保有容認という結果になったと考えられるのであり、一方で、中国は従前と異なり、公然と北朝鮮を非難することで、韓国を自国の核の傘の下に誘導したいとの目論見が透けて見える。
 日本は日米安全保障条約で「米国の核の傘の下」にあり、日米でミサイル防衛システムを構築して敵国からの攻撃に対抗するとしているが、韓国はこれに参加せず、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の在韓米軍への配備も拒否してきた。非公式ながら、朴槿恵大統領は中国が韓国主導の朝鮮半島統一に協力するのであれば、米韓同盟の破棄も選択肢とする認識を示したとも伝えられており、9月の中韓首脳による軍事パレード参観や貿易の4割を中国に依存する韓国の現状を考慮すると、中韓の急速接近は座視できない領域にある。

 このまま放置すれば、いずれ、北朝鮮は水素爆弾の小型化に成功し、ミサイル誘導技術を進化させることは必至であり、若き独裁者が核弾頭搭載のミサイルの発射ボタンに手をかざす日が来るかも知れない。島根県は北朝鮮から一番近い対岸であり、すでにノドンの射程距離内である。事態は、日米のみならず、極東、東アジア地域の安全保障体制を一変させかねない憂慮すべきもので、私たちは朝鮮半島の軋みが「対岸の火事」ではないことを認識しなくてはならない。政府には、日米韓の連携強化と国際社会との協調を最優先課題として、迅速かつ果敢に取り組んでほしい。