12月28日、松江市の島根県市町村振興センターでJAしまね主催による「TPP影響試算説明会」が開催され、島根県内の農業関係者など150名が参加しました。政府は先ごろTPPによる日本の農林水産業への影響を約1兆円とし、国内対策を講ずることによって3000億円程度にまで圧縮できるとする試算を公表しましたが、この日は「異議あり」とする東京大学の鈴木宣弘教授の分析を聴講しました。鈴木教授によると、TPPの発効によって、島根県では農業生産額は東日本大震災前の2010年の実績から約108億円の減少となり、6800人余の就業者減が予測され、農林水産業全体では約158億円、就業者で8200人余のそれぞれ減となるとの予測を示し、流通や販売などへの波及額は229億円に達するとの見通しを述べました。さらに、遺伝子組み替え作物や残留農薬、BSE対策、ISDSなどによる健康や環境の問題が曖昧にされており、「合意内容についてきちんとした説明がなければ、受け入れてはならない」と強く警告しました。TPPについてはその功罪について様々な意見がありますが、日本が、経済発展が著しいアジア・中東地域の成長を取り込むためには貿易や資本の自由化は避けて通れないことも事実です。しかし、国民の健康や自然環境さらには生態系への懸念は経済の論理とは一線を画す必要があります。そのためには、何よりも「目先の利益にとらわれない賢い国民・賢い消費者」である必要があり、今こそ「食育」の充実が求められていると感じました。