安倍首相は昨日の閣議で補正予算の編成を指示し、一億総活躍社会の実現と「名目GDP(国内総生産)600兆円」を達成するための緊急経済対策の一環として、低所得の年金受給者に対し、1人あたり3万円の給付金配布や最低賃金の引き上げ、エコカーや省エネ住宅の購入費用の軽減措置などが検討されていると報道されている。給付金の配布は過去にも小渕内閣の「地域振興券」や麻生内閣の「定額給付金」などの例はあるが、然したる消費拡大効果はなく、「選挙目当てのバラ撒キ」との批判が増大する可能性が強い。そもそも政府は「人口減少対策」として地方創生を掲げ、出生率の回復を国の重点施策とするなど、医療、年金、介護に象徴される高齢者に偏った社会給付の見直しに着手したはずだが、3000億円とも言われる今回の給付金のどこに合理性があるのだろうか。国の年間予算の半分は借金であり、後世への「ツケ廻わし」である。かつて、竹下登元首相は「現役世代が消費したツケを子や孫に負わせてはならない」とし、赤字国債の解消と消費税の導入を実現されたが、平成初年に160兆円余であった国債残高は今年度末に800兆円(国民1人あたり約640万円)を超えると推計されている。