夏至から数えて11日目を「半夏生(ハンゲショウ)」と言います(この日から5日間とする地域もあるそうです)。かつて、農業国家であった日本では、農家にとって半夏生は大切な節目で、「半夏半作」という言葉があるように、夏至から半夏生までに田植えを済ませることができないと、その年は天候不順で、豊作にはならないとされてきました。各地で「シロミテ休み」などとして半夏生の期間中に農作業を休みにするという風習が残るのは、田植えで疲れた身体を癒すために必要な休息を取る時期とされたものと読み取れます。半夏生の「半夏」は「烏柄杓(からすびしゃく)」という薬草の漢名からきており、梅雨の末期で高温多湿で不順な天候になると生えてくる「半夏」の生える時期にあたることから半夏生と呼ばれるようになったと言われています。蛇足ですが、この時期に白い花をつける「片白草(かたしろくさ)」が「半夏生」の花で、植物の「半夏」と「半夏生」は全くの別物です。7月初旬から花を咲かせ、葉の表側だけが白くなり、半分化粧をしているように見えることから「半化粧」。転じて「半夏生」となったとの説が一般的です。