12月9日、県議会の文教厚生委員会は岡山県の瀬戸内市にある長島愛生園を訪問、視察しました。長島愛生園は1930年にハンセン病の患者を治療する目的で作られた国の施設で、現在300人近い入所者が療養生活をしています。藤田園長は概要説明で「入所者のハンセン病は完全に治っており菌のある人はいないが、発病後に末梢神経が侵され、知覚麻痺、運動障害が生じたための後遺症による障害のある人がほとんどで、平均84歳となる高齢もあって、病気や体の不自由さが増している」とし、「らい予防法が廃止された後も入所者が故郷や家族のもとに帰ることができないのは、世の中のハンセン病に対する偏見・差別があり、1930年代から都道府県が主体となって行った『無らい県運動(癩病患者を摘発し癩病患者施設に強制収容させて県内から癩を無くそうという目的で行われた社会運動)』と国の隔離政策の継続が、国民のハンセン病に対する誤解を助長したことは否めない事実だ」と日本のハンセン病対策の歴史について詳しく解説しました。また、施設の現状について「現在、愛生園など国内にある13の国立療養施設では、現に入所しているか、または、過去に入所した経験を有する者のみを対象に、介護と介助、後遺症の治療、そして高齢化に伴う老人性疾患の治療などを行ない、療養者の生活を国が保障するという『ハンセン病問題の解決の促進に関する法律』の趣旨を実践している」と述べました。この日に参加した議員や県庁の幹部は29名で、愛生園内の施設を見学後、慰霊塔に献花・拝礼を行いました。