佐世保市で小学6年生の女子児童が同級生に殺害された事件が起き、教育関係者に衝撃が走ってから10年、16歳の女子高校生が同級生を絞殺し、遺体を切り刻むという、残忍な事件が再び繰り返されてしまった。殺人容疑で逮捕された少女は全国規模のスポーツ大会に出場するなど「文武両道で多才」と評価される一方、母は昨年10月に他界して以降、父親が再婚、今年4月からマンションで1人暮らしを始めるなど、生活環境が大きく変化している。佐世保市では6月を「いのちを見つめる強調月間」としてさまざまな行事を企画し、長崎県教委は子供が感情を表に出せるかなどの危険信号を数値化して未然に非行を防ぐ試みを始めるなど、「命の大切さ」を子どもに認識させる取り組みを最重要課題としてきたと言うが、肉親の死によって「命は2度と還らない」ことを間近で認識した少女の凶行であるだけに、生活指導や支援の不足は否めないところである。学校で事故・事件が起きると必ず「児童・生徒の心のケア」が大事とスクールカウンセラーの派遣や研修会などの処置が取られるが、大多数の子供にはその必要は無いことが多い。むしろ、日ごろの経過観察の中で支援が必要な者に対し、適切な措置を講ずることが求められている。現代っ子たちはコミュニケーション能力や辛抱、感情の抑制などに不足が多いと言われており、集団や社会生活になじめない発達障害の発現は年々増加している。もはや、社会から離反・離脱するおそれがある「個」を対象にした訓練、支援なくして社会、とりわけ若年の幼稚化は避けられず、喫緊にそうした対処が必要になっていることをこの事件のニュースから読み取るのである。