11月から3月に多発するノロウイルスによる感染性胃腸炎は、乳幼児から高齢者に至る広い年齢層に見られます。症状は下痢だけではなく嘔吐を引き起こすことが特徴で、嘔吐(吐瀉物)の飛沫によって空気感染する場合があります。また、このウィルスはエンベロープ(宿主細胞の膜)を持っておらず、アルコールや高温に対する抵抗性があり、乾燥や酸にも強いので非常に厄介です。また、多数の遺伝子型が存在するため、再感染を起こすこともあります。通常は1~2日で治癒しますが、子供や高齢者は激しい嘔吐や下痢による脱水症状に気をつける必要があります。一般に「腸感冒」と言われる風邪の症状と似ていますから要注意。発見が遅れると思わぬ拡大を生ずることもあります。1月中旬には静岡県で1000人を超える集団感染が報道されており、島根県でも松江市内のホテルや出雲市内の病院などで食中毒事案として報告され、営業停止処分となりました。ノロ感染の予防には徹底した手洗いが大切で、発症したときは次亜塩素酸ナトリウムの水溶液で消毒を徹底する必要があります。次亜塩素酸ナトリウムの水溶液は市販されている家庭用の台所用漂白剤(キッチンハイター)と同じですから、100倍程度に薄めて使うと有効です。