日本のお正月の恒例行事と言えば「初詣」と「駅伝」か。とりわけ、元日の全日本実業団対抗駅伝は「ニューイヤー駅伝」、2,3日に開催される東京箱根間往復大学駅伝競走は「箱根駅伝」と呼ばれ、3が日のTV放送のチャンネルを独占する。今年の勝者は実業団がコニカミノルタ、大学は東洋大学で、いずれも優勝候補と目されてはいたが、事前報道で本命とされたチームではなかったように思う。スポーツ競技で「本命」とされ、各チームが目標としてマークするチームが優勝する時の実力は、「他の追随を許さないほど抜群」と形容される。昨年末の有馬記念で勝ったオルフェーブルがまさにそうであった。一方で、本命視されながら敗れた場合、「本来の力を発揮できず」と形容される。フィギュアスケートの日本選手権での高橋大輔選手や浅田真央選手、今年の箱根駅伝での駒澤大学に象徴的である。いわゆる「本来の力」が意味するところは「過去に発揮した最高の力」であり、「まだ発揮していないが、潜在的に持っている力」や「最低の条件で発揮できる力」を評するものではない。大舞台で、自己に秘めた最高の力を発揮したのはバルセロナオリンピックの水泳で金メダリストとなった岩崎恭子選手を思い出すが、緊張やプレッシャー、コンディションなど普段と違う条件下で力を出し切ることは非常に難しく、「本来の力を出せば勝てる」チームであっても、「潜在力」を発揮したチームに勝てないことを今年の箱根駅伝は再認識させてくれた。