1票の格差が最大4.77倍だった7月の参院選は違憲だとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟で「違憲状態」とする判決が相次いでいる。民主主義は「1人1票」の原則があり、最高裁は2009年の衆院選で1票の格差が2倍以上あった状況を『違憲状態』とし、た。2010年実施の参院選で最大5倍に開いた格差も同様の判断を示した。
 日本国憲法には国会に衆議院と参議院をおくことが規定されているが、定数や選出区分の規定がないため、投票価値の平等が損なわれることを不合理とする裁判所の違憲判決によって衆議院、参議院の選挙制度や定数配分が変更され、国会は大都市圏の議員が3分の2を占めるに至っている。
 すべての法律、制度は最高法規である憲法遵守が法治国家の原則であるが、憲法は不磨の大典ではない。例えば米国憲法は上院、下院の議員の選出区分、方法を規定しており、投票価値の平等や地域性がきちんと国政に反映される仕組みを定めており、日本国憲法も社会や時代の変化に対応して見直しする必要がある。
 大都市圏と地方の人口や経済の格差は拡大する一方であり、地方では生産活動のみならず自然環境の保全に支障が生じ始めている。地方自治体では住民サービスに必要な税財源の確保が困難となっているが、国政での地方論議はどんどん遠のいていくように聞こえる。一日も早く憲法に国会議員の選出区分と方法を規定しなければ、衆参の国会議員の大半が都市部選出となることは必至であり、そうした意味からも憲法の改正は必要不可欠なのである。