徳島大学医学部臨床教授の宮崎雅仁先生(小児神経学)は、「子供の脳は、年とともに成長発育するが、人格を形成する前頭前野は4歳~5歳で発育がほぼ完 成するから、対人関係の障害としての高機能広汎性発達障害、行動障害としての注意欠陥多動障害、認知障害としての学習障害、不随意運動をもつ慢性チックな どの障害、運動障害としての発達性協調運動障害、全体的な知的機能の障害としての軽度精神遅滞は5歳児健診で診断することが可能だが、3歳児健診では、脳 の発育が十分でないため前記疾患の診断は難しい。」と5歳児健診の必要性を強調されました。11月21日に訪問した香川県東かがわ市では、すべての5歳児を対象に健診が実施されていました。宮崎先生は「従来は兄弟や地域内での子供の関わりなど、毎日の異年齢接触の中で自然に身についた子供の社会性が少子化によって不足してきたことが発達障害が増加している要因の一つ。」と述べ、「早期に発見して、早期介入・治療を行うことで克服できるケースが増加する」との見解を示されており、島根県でも5歳児健診の実施と結果を幼稚園、保育所、小学校などで情報共有し、早期の対処と適切な支援が必要だと感じました。東かがわ市の坂下恵市民部福祉課長は「平成18年度から実施している5歳児健診の受診率は 100%。福祉課、子ども健康課、教育委員会など市の部局連携はもとより、療育センターや小児科医との連携が必要だが、継続的な取り組みによって発達障害に 対する保護者の意識は着実に変化してきた」と述べました。