6月14日、安全性が疑問視されていた子宮頸がんワクチンについて、厚生労働省の専門家検討会は接種を勧めるのを控える方針を決めました。子宮頸がんは、子宮の入り口に発生するがんで、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で起こるとされています。日本では年間約1万人が子宮頸がんと診断され、2011年には2737人が死亡していますが、がんの発生率は20~30代の若い患者が急増しており、国は10年度から、ワクチン接種に公費補助をする市町村に対し半額を負担する事業を開始し、改正予防接種法の成立により、今年4月からワクチン接種は原則無料の「定期接種」の対象になりました。日本で接種されている子宮頸がんワクチンは「サーバリックス」「ガーダシル」の2種類で、サーバリックスは09年12月の発売から昨年末まで約684万回接種され、88例(0・0013%)の重い副反応が、ガーダシルは11年8月の発売から約145万回接種され、13例(0・0009%)の重い副反応が報告されていますが、英国や米国など他の先進国でも同程度の副反応報告はありますが接種は中止されていないとのことです。厚労省は各自治体に対し、「定期接種は中止しないが積極的には勧めない」とする文書を出し、「副反応(副作用)の適切な情報提供体制を整えてから判断するように」とのことですが、「副作用」と「将来の罹患」という2つのリスクを専門的知見を持たない当事者に判断させることは酷というもので、無責任の誹りは免れないと思います。