「一票の価値」という言葉は都市部に比べて人口の少ない地方に暮らす私たちをやるせない気持ちにする。なぜなら、政治家(国会議員)は、国民を代表するのか、地域を代表するのかという問題を脇におき、人口のみで選挙制度を云々する議論だからである。アメリカの国会は国民の代表で構成される下院と州の代表で構成される上院の選挙制度が全く異なり、国民の代表として選出される下院は一票の格差を許さず、10年ごとの国勢調査で選挙区の区割りを変更するが、上院は人口の多少にかかわらず、各州2名の議員を選出し、一票の格差など全く問題にしない。
日本も首相の選出や予算の議決に優越規定がある衆議院を国民の代表、参議院を地域の代表にし、一票の格差を許さない衆議院と一票の格差を問題にしない参議院という制度にすべきである。衆議院と参議院にどのような機能、役割を持たせ、議員の選出方法をどうするのかをきちんと憲法に規定すれば、選挙のたびに訴訟が提起されるという愚はなくなる。
現在、国会で審議中の「0増5減」は、違憲状態とされる格差2倍を一時回避するための方便ではあるが、弥縫策と言われても致し方ない。しかし、国勢調査の速報から2年を経過して、なお、それさえ放置することは怠慢の誹りは免れず、審議拒否など言語道断である。政党が党利党略を弄することは常としても、日本の民主主義をきちんと機能させるために、抜本的な選挙制度の作りかえが必要だと考える。