東京・築地の中央卸売市場の初競りで、222キロの青森県大間産クロマグロが1本1億5540万円(1キロ当たり70万円)で競り落とされたと報道された。初競りのマグロは例年、「ご祝儀相場」として高値が付くが、築地を本店とする「すしざんまい」と香港の「板前寿司ジャパン」というすしチェーンの一騎打ちとなった格好で、今年の競りではこれまでの最高値だった昨年の3倍近くに跳ね上がり、マグロは名実ともに「黒いダイヤ」となってしまった観がある。天然のクロマグロは、乱獲や違法な漁獲が深刻で資源減少が懸念されており、国際自然保護連合(IUCN)は大西洋のクロマグロを絶滅危惧種に指定し、国際機関が保全に取り組んでいるのだが、関係者の目にどのように映るかは興味のあるところでもある。しかし、「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」。行き過ぎた相場によって同じ魚種で150倍もの格差が生じ、市場規律が壊れるおそれがあり、また、コスト意識の緩みは企業の存廃につながりかねない。金融緩和や円安誘導の経済対策は結構だが、年末年始の株式や為替市場の性急すぎる反応とバブルまがいの初競りのニュースには看過できない危険な燻りを感じるのである。