小村美正先生(島根県剣道連盟副会長、剣道教士7段)には、平成23年7月19日逝去され、7月21日、出雲市内で告別式が執り行われました。

 「島根に小村あり」。剣道にかかわる誰もが尊敬し、かつ、その実力を認める剣風は、「柔にして剛」。持病を天命と受け入れ、「学校に迷惑はかけられない」と55才で教職を辞されました。徹底した自己管理と鍛え上げた強靱な身体、類い希な精神力によって、残余の日々を少年剣道の指導に尽瘁、今日まで島根県の剣道を背負い続けられた姿に、傍からは病魔を克服されたかのように見えました。
 国体や都道府県、全国教員など各種全国大会でのご自身の活躍に加え、卓越した指導手腕と誠実な人柄は門下にたくさんの人を集め、くにびき国体、04総体、島根全中など、成果を挙げた結果のすべてに足跡が残っています。教員時代に赴任した学校を悉く強豪校に育て上げたばかりでなく、剣連の強化部長、島根全中の強化委員長として、ジュニアの徹底強化を図り、県内の中学1,2年生と小学5,6年生を集めた錬成大会で有望選手を発掘、強化合宿や剣道塾、特別稽古会などを主宰するなど、まさに身を削り、命を懸けた一つひとつの取り組みが蕾となり、昨年、島根全中で開花、結実したと言っても過言ではありません。

 昨年、島根県で、戦後、数人しか受賞例のない「スポーツ指導功労者」の島根県知事表彰は、剣道の普及、指導、強化に対する抜群の功績が評価されたからであり、自らに与えられた極めて限られた時間のなかで、遺された強化の灯火は、いま、背中を見て育った若い指導者達によって引き継がれ、弱小であった島根の剣道は変貌を遂げ、光彩を放ちつつあります。
 先日、出雲地区剣道連盟は常任理事会を開催し、病床から提出された島根全中の強化報告書を了承しましたが、それを待つかのごとく、61才での早逝は痛惜の念を禁じ得ません。しかし、中学から剣道の修行を始めて、凡そ50年。どの時代でも、競技者として、指導者として、常に第一人者として衆望を集めた人生は、まさに天寿を全うしたと言っても過言ではなく、見事な武士道の実践であったと言わせていただきます。合掌