朝鮮半島由来の朝鮮王室儀軌など1205冊の図書を引き渡す日韓図書協定が民主党や公明党などの賛成で批准・発効が確実視されています。朝鮮王室儀軌は、李氏朝鮮時代の祭礼や行事を絵画や文章で記録した古文書類で、日本統治時代に宮内省に163冊が移管され、民間から購入した4冊を加えた167冊を現在、宮内庁が所蔵しているものですが、韓国からの引き渡し要求を民主党政権が了承し、昨年11月、日韓両国の外相が引き渡し協定に署名しました。

 韓国政府の要求は宮内庁所有の167冊でしたが、協定は日本政府の調査で国内に存在する1205冊すべてを引き渡す内容となっている上、日本から韓国に渡っている対馬藩主・宗家の文書などの引き渡しは求められておらず、一方的、片務的な内容だとして自民党などは反対しています。また、韓国政府は、朝鮮王朝末期の19世紀にフランスに持ち去られた図書について、フランス政府から韓国に貸与されることで合意したと発表しました。日本、フランスの対応に圧倒的な「外交力の差」を感じるのは私だけでしょうか。

 竹島の実効支配について洋上基地化を伸展させる隣国に対し、政府が毅然とした対応もしないまま、一方的に相手の言い分に従ってしまうことは「国家経営の大本」を放棄したも同然です。また、東日本震災や福島原発事故に対する稚拙な対応と先送り、後追いの姿勢には嫌悪感すら覚えます。国難に臨み、内閣の方針が開会中の国会質疑の答弁でなく、連日、首相の記者会見で発表される態に、政治の閉塞感と国権の最高機関とは名ばかりの国会の限界を感じざるを得ません。