民主党・菅内閣に対する国民の支持が下落したいちばんの理由は、一向に決断・実行がされないことにある。例えば、消費税、TPP、沖縄、小沢問題、どれをとっても「言うばっかり」で、何ひとつ実効があがらない。
 菅首相はインターネット番組で、民主党の2009年衆院選政権公約(マニフェスト)の見直しに言及し、通常国会前に内閣改造・党役員人事をする意向と報道された。「党大会まで、時間があるから、じっくり考えたい」と語り、1月17日と言われる改造に向け人事調整を進めるとのことである。第2次菅内閣発足からわずか4ヶ月。予算編成を終えたばかりで、しかも、1月下旬の通常国会召集まで余日がないなかで、年明け2週間の政治空白はいったい何のためなのかと問いたい。
 鳩山内閣は、22年度予算で、税収を大幅に上回る国債の発行によってマニフェストに掲げた政策を具体化したが、「予算の組み替えとムダの排除で政策経費を捻出する」としながら、地方分権改革や医療保険、年金、税制など、ほとんどの制度改革が手つかずのまま店晒しにされている。法律改正は放置・先送りされ、歳出だけが肥大化したままの平成23年度予算が編成された。まさに「詐欺まがい」である。
 新聞などマスコミは連日、○○大臣に○○氏など洪水のごとく人事の報道をするだろうが、国益を損なう無意味な人事異動の報道を聞かされる国民は大迷惑である。昨年、通常国会の最終盤で首相が交代、政府提案の法律改正案は灰燼に帰した。民主党は、参議院選敗北、党首選による政治空白が、円高、尖閣、北方領土など大きなダメージを生じさせたことを忘れたのであれば、余程「学習効果のない」所作だと言わざるを得ず、菅内閣への信頼がさらに低下することは疑う余地がない。