政府は、10月19日に発表した10月の月例経済報告で、景気の基調判断を「足踏み状態」として、2年3ヶ月ぶりに下方修正しました。1ドル85円を割り込む15年ぶりの円高に、製造業をはじめとする輸出関連業種の業績低迷が加速するなか、適切な経済対策が執られていないことが要因です。昨年の政権交代以降、財政支出は政策(生産)給付から「子ども手当」に象徴されるように、現金(消費)給付へ変更されました。しかし、年間2兆5千億円もの財源を充当して子供1人あたり13000円の現金給付を行ったところで、子育ての社会環境が改善するわけではなく、例えば、保育所の待機児童など解消されません。同様に、農地などの土地改良事業費を削減し、コメ農家の所得補償に財源を充当しても、生産性の改善に貢献しないばかりか、農家はコメ価格の下落によって採算割れした水田農業から作物転換すらできないのです。円高によって、FTA、EPA、TPPなどの貿易協定締結が現実味を増すなかで、社会基盤の高度化や先進技術の開発といった国家の潜在力を増幅させる政策展開を放棄し、目先の現金給付政策を進める政府・民主党に危うさを感じざるを得ません。日本のGDPの約15%を占める輸出は1円の円高によって4%下落すると言われ、企業の想定レートを90円とすれば40%の30兆円の影響となります。政府が経済対策によって景気を「踊り場」から脱出させるためには、相当思い切った政策出動が必要であり、国会の予算委員会審議も小沢問題や尖閣事件にこだわらず、経済に視点を移行する必要を感じます。