大方の予想通り菅直人副総理・財務大臣が第94代内閣総理大臣に指名されました。民主党の党内抗争による鳩山降ろしの結果、わずか8ヶ月で総理大臣が代わりました。平成になって16人目です。民主党は、国会開会中の政治空白を最小限にするとして、鳩山後継を決める党首選挙をわずか2日後に設定し、直ちに、国会の首班指名を行いました。しかし、菅内閣の組閣は4日後の8日からスタートするというのです。ギリシャの経済危機をうけ、6月4日から韓国でG20が開催されていますが、日本からは総辞職をした鳩山内閣の峰崎財務副大臣が出席、同じように、札幌市で6月5、6の両日に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合は同じく総辞職した内閣の岡田克也外相と直嶋正行経済産業相が共同議長を務めるというのです。岡田外相は「総理大臣の交代は政権党内部の事情で心配は無用」と述べていますが、総辞職後の職務執行を代理する立場でしかない人の発言を国際社会が信頼、評価するでしょうか。国会の会期は残り10日余、主要国首脳会議や参議院選挙などの政治日程を考えれば、悠長に人事評定を行う暇はないはずです。政権交代後に召集された初めての通常国会は、「民主党が政権交代によって日本の国のかたちをどのように変えるのか」を国民に示す最初の機会であったはずです。ほとんどの重要案件を積み残されたまま、会期半ばで民主党の党内事情で党首交代し、1週間もの政治空白を当然視して国政にあたる姿勢は甚だ奇異で、国益を弁えないものだと思います。自ら党首選挙に立候補した菅直人総理大臣は、時間がないことを含め、「国家の最高指導者としてどうすべきか」という視点が欠けており、市民感覚に鋭敏として目前の国内世論に迎合し、政権運営のイロハを脇においた航海では、鳩山前首相と同じ途をたどることは必至だと感じます。