出走表や新聞の馬柱を見た時、
障害の斤量って、なんでこんなにバラバラなの?
って思ったことありませんか?
ある馬は59kgで出られるのにこの馬は60kg。
そうかと思えば61kgや62kgを背負っている馬もいる・・・などなど。
ここでは、障害競走の負担重量について書いておこうと思います。
まず、大きく分けてこの2つになります。
・定量戦
・別定戦
ちなみに、ハンデキャップについては2008年をもって廃止となり、現在、ハンデ戦は行われておりません。
・定量戦
中山グランドジャンプ、中山大障害、未勝利戦が定量として行われます。
内容としては、
中山グランドジャンプ
4歳62kg、5歳以上63.5kg(牝馬2kg減)
中山大障害
3歳61kg、4歳以上63kg(牝馬2kg減)
未勝利戦
3歳・・・58kg
4歳・・・1~5月59kg、6~12月60kg
5歳以上・・・60kg
となります。
未勝利戦について、昔の呼び方をするなら『馬齢』ということになりますね。
現在は馬齢重量という呼び方はしませんが、馬の年齢によって斤量が決まる負担重量ですね。
・別定戦
これがややこしい。
ま、全部書いてしまいますと・・・
あ、ちなみに牝馬は全て2kg減です。
阪神スプリングジャンプ(J・GII)
京都ハイジャンプ(J・GII)
4歳59kg、5歳以上60kg
J・GI競走1着馬2kg増
J・GII競走1着馬1kg増
東京ハイジャンプ(J・GII)
3歳58kg、4歳以上60kg
J・GI競走1着馬2kg増
J・GII競走1着馬1kg増
J・GII競走についてこうなります。
基本となる重量は上記の未勝利戦の場合と同じですね。
そこにこれまでに優勝した重賞の格に対して重量が負担されます。
東京ジャンプステークス(J・GIII)
阪神ジャンプステークス(J・GIII)
京都ジャンプステークス(J・GIII)
3歳58kg、4歳以上60kg
J・GI競走1着馬3kg増
J・GII競走1着馬2kg増
これらについては3つとも同じですね。
東京ジャンプSは6月に行われますし、阪神・京都のジャンプSも秋の開催ですから、上記の未勝利戦の場合と同じ負担重量に、これまでに勝った重賞の格に対して重量が負担されます。
小倉サマージャンプ(J・GIII)
新潟ジャンプステークス(J・GIII)
3歳58kg、4歳以上60kg
J・GI競走1着馬3kg増
J・GII競走1着馬2kg増
障害重賞競走未出走馬および未勝利馬
(収得賞金400万円以下の馬を除く)1kg減
収得賞金400万円以下の馬は2kg減
これがややこしいですね。
基本的には東京・阪神・京都のジャンプSと同じなんですが、これまでに重賞を勝ったことが無い馬や初めて重賞に挑戦する馬に対して1kg減量があります。
加えて、障害での勝ち鞍が未勝利戦のみ(収得賞金400万円)の馬に対しては2kgの減量があるわけです。
例えば、3歳馬で障害未勝利を勝ち上がったばかりの馬がこれらのレースに挑戦すると、基本58kgに対して収得賞金400万円のためマイナス2kgで、56kgで出走できるということになりますね。
そして、その他OP特別については、2009年以降『別定』とだけ書かれるようになりました。
が、実際には、いくつか負担重量の種類があり、
別定SSS
4歳59kg、5歳以上60kg
3歳58kg、4歳以上60kg
J・GI競走1着馬3kg増
J・GII競走1着馬2kg増
2009年秋季~2010年春季では、
牛若丸ジャンプS
春麗ジャンプS
ペガサスジャンプS
イルミネーションジャンプS
が該当します。
別定SS
4歳59kg、5歳以上60kg
3歳58kg、4歳以上60kg
J・GI競走1着馬5kg増
J・GII競走1着馬3kg増
J・GIII競走1着馬1kg増
収得賞金400万円以下の馬は1kg減
上記と同じく
福島ジャンプS
秋陽ジャンプS
が該当します。
別定SB
4歳59kg、5歳以上60kg
3歳58kg、4歳以上60kg
収得賞金700万円毎に1kg増
上記と同じく
中山新春ジャンプS
淀ジャンプS
三木ホースランドパークジャンプS
が該当します。
別定SA
4歳59kg、5歳以上60kg
3歳58kg、4歳以上60kg
収得賞金400万円超過馬は収得賞金300万円毎に1kg増
この条件でのOP特別の施行は、2009年秋季~2010年春季ではありません。
(2010年秋季以降は調べきれてないので、今年は別の条件で施行になっているかもしれません。悪しからず。)
別定SBおよびSAについては、平場のオープンでも使われていますね。
ここで簡単な計算をしておくと・・・。
別定SBの場合、障害未勝利を勝ったばかりの馬の収得賞金は400万円。
この場合、700万円に到達していませんので、負担重量の増量はありません。
が、700万円の収得賞金を持っていると1kg増量されます。
例えば、収得賞金2500万円の馬がいたとします。
その場合、2500万÷700万=3(余り400万)となりますので、基本重量に3kgプラスされるということですね。
別定SAの場合、障害未勝利を勝ったばかりの馬の収得賞金は400万円。
この場合、賞金が400万円を超過していませんから、重量の増量はありません。
が、仮に410万円という賞金を持っている馬がいたと仮定したら、これは400万円を超過していますが、300万円毎に1kg増量ですので、まだ基本重量です。
賞金が700万円になると、(700万-400万)÷300万=1となり、1kg増量されます。
例えば、収得賞金2600万円の馬がいたとします。
その場合、(2600万-400万)÷300万=7(余り100万)となりますので、基本重量に7kgプラスされるということになります。
また、障害の最低斤量というのも決められており、3歳56kg、4歳以上57kgよりも軽い負担重量はありません。
例えば、58kgでレースに出走できる馬に3kgの減量特典を持つ騎手(▲)が騎乗しても55kgにはならず、56kgとなります。
もちろん、3歳牝馬の場合は最初から56kgということになりますから、減量騎手が騎乗してもこれ以上軽くはなりませんね。
障害競走の負担重量とは、このように決められています。
かつては障害の負担重量は、いわゆる青天井でした。
重賞でも賞金を稼いでいる馬にはどんどん重量が加算され、63kgとか64kgとかで出走することもしばしば。
それでもレースに使わないと走る場所がなくなっちゃいますからね。
そして、1999年の障害改革以降は、徐々に負担重量も変わっていき、鬼のような斤量を背負うことはなくなりました。
一応、だだだっと列記してみましたが、実際に負担重量を見るまではピンと来ないかもしれませんね。
障害OPや今月で言えば20日に行われる新潟ジャンプステークスなどで、各馬の負担重量を見たら、『なるほど、だからこの斤量になったんだ!』というのがお分かり頂けるかと思います。
【投稿者】 ぼやっきー