『デッドプール&ウルヴァリン』『ツイスターズ』が米国夏映画興行を制す! | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

『デッドプール&ウルヴァリン』『ツイスターズ』が米国夏映画興行を制す!

 


1か月分まとめての興行ニュース。

7月19日~21日の週では、28年ぶりの続編『ツイスターズ』がオープニング興収8125万ドルで首位デビュー。現在まで2億2729万ドル、全世界興収3億1529万ドルを記録し、製作費1億5500万ドルを回収。1作目も2億4183万ドル、全世界興収4億9458万ドルの大ヒット作となったが米興収はまもなく前作を超え、28年のブランクを感じさせない勢いで夏興行を賑わせている(インフレ考慮せず)。ロッテントマトは75%(オーディエンス評価91%)、シネマスコアは「A-」と高く評価されており、「前作以上の出来」という声が占めている。当初は前作の主人公カップル、ジョーとビルの娘を主人公にした続編で企画されていたが、その設定はなくなり「アップデートされたリブート作」になると報じられていた。正確には続編だが、前作のキャラクターは登場せずストーリーは独立しており「リブート」的な作品となっている(つまり前作を観てなくても全く問題ない)。



そして翌週には2大スーパーヒーローが米映画界を席巻。公開まであらすじどころか登場キャラについてもかん口令が敷かれていた話題作『デッドプール&ウルヴァリン』がついに公開。FOX=マーベルの人気シリーズ『デッドプール』が3作目にしてついにMCU入りを果たし、ウルヴァリンと本格共演を実現しただけに世界中のアメコミファンが注目。OP興収はいきなり2億1143万ドルというメガヒットデビューとなり“俺ちゃん”大爆走、MCU作品では『アベンジャーズ』を超えて歴代4位のOP記録となった。米興収では5億1200万ドルを超えて『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を抜いてMCU作品では歴代5位。全世界興収では10億ドルの大台を突破、
16日時点で10億8561万ドルを稼ぎ、『ジョーカー』の記録を追い抜いてR指定映画歴代No.1作品になった。本作の大ヒットによりマーベルスタジオ作品の全世界興収の累計額が300億ドルを超えるという偉業を成し遂げている。

ロッテントマトは78%で前2作の80%台には届かなかったもののフレッシュトマト認定。オーディエンス評価は95%の熱狂ぶりでリピーターも続出している。MCU前作『マーベルズ』の全世界興収がまさかの2億ドル止まりという大赤字となり、観客のアメコミ映画疲れが指摘されていたがその不安はとりあえず払拭されたようだ(ただしこの勢いがいつまで続くかは不透明)。



『デッドプール&ウルヴァリン』と『ツイスターズ』の大ヒットで米国の劇場が活気づく中、8月2日の週にはM・ナイト・シャマラン監督の新作『トラップ』が3位デビュー。娘とコンサートに向かった男がその会場で連続殺人鬼の逃亡事件に巻き込まれてしまうジョシュ・ハートネット主演のスリラー。製作費3000万ドルの本作のOP興収は1545万ドルで累計興収は3120万ドル、全世界興収は4790万ドル。ロッテントマトは55%(オーディエンス評価65%)で、シネマスコアは「C+」となっており、「悪くはないけど・・・」といった燻ぶる評価が多いようだ。観客を選ぶシャマラン作品だけあって、本作のどこを注目して楽しむかによって評価の違いが表れている。ちなみにこの10年のシャマラン作品でフレッシュトマト認定作品(最も評価が高かった)は2017年の『スプリット』で78%。



そして先週末はライアン・レイノルズ&ブレイク・ライブリー夫妻の作品がボックスオフィス1、2位を席巻した。『デッドプール&ウルヴァリン』で爆走中のライアン・レイノルズの妻ブレイク・ライブリー主演によるラブ・ロマンス作品『It Ends with Us』が関係者の予想を上回るOP興収5000万ドルのサプライズヒットで2位デビュー。コリーン・フーヴァーのベストセラー小説『イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる』をソニー・ピクチャーズが映画化したもの。ロッテントマトは57%(オーディエンス評価92%)、シネマスコアは「A-」と、あまり評価していない批評家よりも観客の支持がすこぶる高い。



笑えない状況になっているのが『ボーダーランズ』だ。人気RPGをイーライ・ロス監督が映画化したSFアドベンチャーで、ケイト・ブランシェット、ケヴィン・ハート、ジャック・ブラック(声)、ジェイミー・リー・カーティスといった豪華キャストが顔を揃えた注目作。しかし批評家によるファーストリアクションでは不評が相次ぎ、0%スタートだったロッテントマトは現在10%。オーディエンス評価も52%とあまり支持されず、シネマスコアでは滅多に出ない「D+」判定(近作ではラッセル・クロウ主演の『The Exorcism』が「D」認定された。シネマスコアの「D」は“作るべきではなかった映画”レベルに相当するという)。この不評が影響したためかOP興収860万ドルという大コケ発進となり、ここからの巻き返しはほぼ不可能な状態に。マーケティング費用込みの製作費は1億1500万ドルから1億4500万ドルと言われており、今年最大の興行的損失になるだろうと報じられている。



その他作品の累計興収は、『インサイド・ヘッド2』は6億3844万ドル、全世界興収15億9657万ドルでアニメ作品史上最大のヒット作となり、歴代世界興収ランキングでは10位に入った。『怪盗グルーのミニオン超変身』が3億3352万ドル、全世界興収8億947万ドル、『クワイエット・プレイス:DAY 1』が1億3874万ドル、全世界興収2億6094万ドル、『バッドボーイズ RIDE OR DIE』が1億9339万ドル、全世界興収4億ドル。


日本では『インサイド・ヘッド2』が公開2週目で首位を獲得。累計興収は20億円を超えた。Yahoo!映画は4.0点、Filmarksは4.1点、映画.comレビューは3.8点と軒並み高評価となっている。2015年公開の1作目は40億円の大ヒットとなったがそれを超える勢いで、夏休みの劇場を賑わせている。



2位に劇場版シリーズ31作目『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』が4億5500万円で登場。Yahoo!映画は3.8点、Filmarksは3.6点、映画.comレビューは2.9点。1位デビューの『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』は3位にランクダウンとなり、現在まで17億円を超えている。Yahoo!映画は3.8点、Filmarksは3.7点、映画.comレビューは3.0点。



米国よりも日本で先行公開された『デッドプール&ウルヴァリン』は、『怪盗グルーのミニオン超変身』と『キングダム 大将軍の帰還』に阻まれて1位を獲れず3位デビュー。以降、5位→7位と順位を落としている。前作『デッドプール2』では18億円を稼いでいるが、累計興収は16億円と前作を超えそうな勢いだ。Yahoo!映画は4.0点、Filmarksは4.1点、映画.comレビューは3.6点。



『デッドプール&ウルヴァリン』の世評は、「いきなりふざけすぎなオープニングから笑いが止まらない」「衝撃と笑撃が交互に襲ってくるいい意味でのバランスの悪さ」「X-MEN愛に満ちた最高の1本」「アメコミ映画はこれぐらいがちょうどいい」「フレームオン!に腹がよじれるほど笑った」「小難しい世界観設定に思えるがデップーがいちいち説明してくれる新設設計(笑)」「デップー軍団とか話に全く関係ない場面を持ってくる無駄遣いが最高(笑)」「ナイスプールがめっちゃ好き」「エンドロールで目頭が熱くなった」「ガンビットのついにの実写化に興奮」「やっぱりブレイドはスナイプスしかいない!」「光が当たらなかったヒーローに活躍させるのがもうニクイ」「もう5回は観た」という称賛派が多い一方で、「話がごちゃごちゃしすぎて分かりにくい」「マルチバースや細かいルール設定はアメコミ好きの二次創作ファンが考えたような内容」「アンカー? また新しい設定が出てきたぞ」「アクション演出の鮮度は前作より劣化してる」「第四の壁を壊しすぎるとどうもシラケてくる」「仲間内だけで楽しんでいるような空虚なアメコミ映画」「Wikipediaを読んでやっと話が理解できた」「マルチバースはもうお腹いっぱい」といった否定的な意見も少なくない。




「シリーズ最高傑作」と呼び声が高いシリーズ第4弾『キングダム 大将軍の帰還』は61億5000万円を超え、シリーズ最大のヒットとなった。Yahoo!映画は4.6点、Filmarksは4.3点、映画.comレビューは4.2点。「あの場面で泣けないわけがない」「映画が原作を超えるという稀なケース」「“大将軍の帰還”のタイトルの意味が分かって震えた」「大沢たかおの存在感なくしてこのシリーズは成り立たない」「原作ファンでもないし前3作がそこまでじゃなかったので期待しないで観に行ったら完成度の高さに驚いた」「世界に誇れる実写日本映画と言っていいのでは」とほぼ称賛しか聞こえてこない。



米国では大ヒットしている『ツイスターズ』は日本は初登場8位で翌週は圏外と不振。Yahoo!映画は3.9点、Filmarksは3.9点、映画.comレビューは3.9点と評価は高いが、ノースターのディザスター映画だと日本では求心力が弱かったか(日本の宣伝がほとんど浸透していないという指摘もある)。興行的に苦戦しているが、SNSでは「4DXがすごすぎる」と一部で盛り上がっており、「座席が吹っ飛びそうで怖かった」「夏映画どころか過去最高の4DXだった」「ポップコーンが全部こぼれる」という声が。累計興収は3億6000万円。



その他作品の累計興収は、『怪盗グルーのミニオン超変身』が31億3000万円、『ルックバック』が16億1000万円、『もしも徳川家康が総理大臣になったら』が8億1000万円、『あのコはだぁれ?』が8億円突破、『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』が6億4000万円、『赤羽骨子のボディガード』が3億4000万円、『仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク』『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』が3億8000万円、『逃走中 THE MOVIE』が3億3000万円。