1作目BD化記念!2作目もBD化して!『バタリアン2』金曜ロードショー版&DVD徹底レビュー!! | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

1作目BD化記念!2作目もBD化して!『バタリアン2』金曜ロードショー版&DVD徹底レビュー!!

 

 

『バタリアン』日本盤ブルーレイのリリースを記念し、2010年1月にアップした『バタリアン2』吹替え&DVD検証記事を再録(一部加筆修正あり、ネタバレあり。情報はすべて掲載当時のものです)

 

 

 

前作のヒットを受けて2年後に製作された『バタリアン2』


ダン・オバノンに代わって監督を務めたのは、B級映画やTV映画がメインで、本作以外では有名どころは『他人の眼』(80)ぐらいしかないケン・ヴィーダーホン


一応、前作の事件後という後日譚ではあるものの、ストーリーの直接的なつながりはなく、ほとんどリメイクに近い。前作にあったおどろおどろしい恐怖やバイオレンスはすっかり影を潜め、全体的にコメディ色が強くなった。ヴィーダーホン監督自身、それほどホラー映画に思い入れがなく、「前作とはあえて違うトーンにするため、大雑把なコメディにしたかった」と、DVDコメンタリーで明かしている。

 

例えば、墓から出てきた死人が別のバタリアンに手を踏まれたり、バタリアンがエアロビ・ビデオに気を取られたりするなど、彼らをマヌケキャラにして笑いを取ろうとしているのがわかる。ただしそれが笑えるかと言われたらかなり微妙だ。


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前作で死んだジェームズ・カレンとトム・マシューズが墓荒らしという別のキャラクターで引き続き登場。それでもやっぱり今回も再びバタリアン化してしまうのは前作のセルフパロディだ。

笑いに特化したマイナーチェンジは悪いとは思わないが、子供を主役にしたこともありゴア描写は控えめ。前作にあった緊迫感は全くなく、なんだか締まりのないB級ホラーになってしまったのは残念なところ。


今度は首だけのオバンバやタールマンも再登場するが、前作以上にインパクトのあるバタリアンがいないのもいまひとつ魅力に欠ける。さらにマイケル・ジャクソンをパロッたバタリアンが一瞬だけ姿を見せるシーンでは、ファンの失笑も買ってしまった(笑)

 

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監督はDVDコメンタリーで「ホラー映画のような意味のない作品はもう撮りたくない」と発言しているなど、本作を監督したことをあまり喜んでないようだ。ホラー映画を「意味のない作品」と断じるような監督なんかよりも、やはりここは“バタリアン愛”のある監督に撮らせていたらもっと満足度の高い作品になっていただろう。


前作に引き続き、東宝東和は増殖したバタリアン・キャラを命名。ホネスッキとか、オイデー、タールマン2世、オノイーター、ハンブーン、ホワイト・ハーゲン、そしてマイケルーノなど好き勝手に名付けているが、いかんせんキャラのインパクトが弱かったせいもあり、前作ほど世間に認知されなかった。しかもパンフレットに載っているキャラクター解説と名前が違ってたりと、『バタリアン2』での東和の仕事はかなりいい加減(笑)

 

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ところで劇場パンフレットやチラシには、でかでかと“バタリアン・ママ”というキャラクターが紹介されているが、本編には一切出てこない。東和がスタジオから送られてきた宣材だけで名付けたかどうかは知らないが、DVDには未公開シーンが入ってないため、バタリアン・ママの謎はいまだ明らかになっていない。


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劇場パンフに載ってたバタリアン・ママ!
 

 


■一度見たら忘れられないバタリアンズ!その2 (登場順)

●タールマン2世
また米軍が過って落としていったドラム缶の中で眠っていたところを近所のガキンチョのイタズラによって目覚める。しかし、ジェシーに背後から突き落とされて川にドボン。出番はたったこれだけ
(笑)

 

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●クビオバンバ
前作に比べてゾンビメイク技術の出来が落ちているため、あまり同一キャラに見えない。てかゾンビババアなだけで
同一キャラじゃないんだけどね。自分のことを「かよわい女子」と思っているが、ラストで兵士に火炎放射で真っ黒コゲに


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●バタリアン・ビリー
ジェシーのいじめっ子。タールマンのドラム缶から噴き出したガスを吸ってしまいバタリアン化。母ちゃんの脳みそをパックンチョ

 

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●ハンブーン
病院内に現われたバタリアン。ショットガンで撃ち抜かれ、上半身と下半身が分断されてしまう。消火液の噴射を食らってもっと悲惨な姿に

 

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●マイケルーノ
コイツがバタリアン化したマイケル・ジャクソンっぽいやつ。登場時間は約10秒


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■バタリアンに追われるキャラたち その2


●エド
墓荒らし。ガスを吸って今回もバタリアン化

 

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●ジョーイ
金のためエドの墓荒らしに同行する青年。
やはりガスを吸ってバタリアン化。脳みそ欲しさに今回も恋人を襲う懲りない奴

 

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●トム
ルーシーの家にケーブル工事にやって来た青年。彼女と高校が同じ

 

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ジェシー
アメコミ好きの少年。いつもじっとしてられず、姉のルーシーを困らせる

 

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●ルーシー
弟ジェシーに振り回される姉。バタリアンが死ぬほど嫌い

 

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●マンデル先生
酒好きの医師。買って30年も運転していない“新車”が自慢

 

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■金曜ロードショー版をチェック!

 

水野晴郎氏はフリップを使ってバタリアン・データなるものを紹介。「不老不死である」「タール系ミイラなど100種類以上いる」「エイリアンではない。その出生は謎」などなど。ん? このデータ、どっかで見た記憶がある。全部、劇場パンフに書いてあったじゃん!(笑) ネタをまんま転用するなんて水野さんらしいですね。で、やっぱり最後は「一人でトイレに行けなくなりますよ~!」と締めくくる。よっぽどこのフレーズが気に入ったようで。

 

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TV放送の尺は95分に対して本編は90分しかないので、余った時間は冒頭に1作目のハイライトシーンを紹介し、本編後はバタリアン紹介とミニ・メイキング映像が流された。この舞台裏映像はDVDにも入ってないからけっこう貴重です。


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●劇場公開版字幕、DVD版字幕、テレビ吹き替えの違いを徹底検証!

 

劇場版(ビデオ&LD)
エド 「悪くないな、生前は色っぽかったぜ。好みだね」

DVD
エド 「悪くねえ、ブイブイ言わせた口だな。いい女だ」

吹替え
エド 「おお、悪くねえなあ。色っぽくてよ、ゾクゾクする~。好みだなあ」


「ブイブイ言わせた口」はキライじゃないですけどね(笑)

 

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劇場版
大佐 「やれやれ、またかい」

DVD
大佐 「もうコリゴリだ」

吹替え
大佐 「くそ、またバタリアンか。前回ほどうまくいくわけがないんだ」

 

 

劇場版

エド    「モゾモゾしやがる」
オバンバに指をかまれるエド
エド    「この出っ歯! オバンバめ! こん畜生!」
ルーシー 「どこかへ捨てて! たのむから外へ…」

ドライバーでオバンバの頭を刺すトム
オバンバ 「そのネジ回しをあたしの頭から早く抜きな!」

DVD

エド    「動き出した! オーマイガー!」
オバンバに指をかまれるエド
エド    「何しやがる! ズベ公、このクソッタレ!
ルーシー 「たたき出して! お願い、うちの外へ!」

ドライバーでオバンバの頭を刺すトム
オバンバ 「そのドライバーをアタシの頭から抜きな!」

吹替え

エド    「ああ! 動いてる~、神様~!」
オバンバ 「コンニチワ~! 脳みそがほしい~!」

オバンバに指をかまれるエド
エド    「イタイ、イタイ、イタイ! オバンバめ!」
ルーシー 「ねえ、アレどこかに捨ててきて! 何とかして~!」
オバンバ 「脳みそが欲しい~!」

ドライバーでオバンバの頭を刺すトム
オバンバ 「ちょっとかよわいオンナになにすんの~! ドライバーを抜いとくれよ~」


生き返ったクビ・オバンバに一同が驚く場面。劇場で観た時「この出っ歯!」には笑った。「ズベ公」もいいですな(笑)

 

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劇場版

ジェシー 「死にたいの? 姉さんの脳みそはまずそうだけどね」
ルーシー 「お黙り!」

DVD

ジェシー 「死にたいの? 脳みそがなきゃ襲われないよね!」
ルーシー 「お黙り」

吹替え

ジェシー 「お姉ちゃん、あいつら脳みそ欲しがってるけど、お姉ちゃんのなんか食べないよ、まずくて!」
ルーシー 「うるさいわね」

 

劇場版

ルーシー 「外にいる連中は醜くて不潔で最低よ。おぞましいだけ。触られたらゾッとするの!」

DVD

ルーシー 「奴らは醜くて不潔でバカ。死人だって容赦しないわ! 指一本触れさせない」

吹替え

ルーシー 「いい、あいつらは恐ろしい怪物よ。不潔で醜くて。死んだ人間でも構わないわ、あんな奴らに触られるぐらいなら撃ってやる!

 

ルーシーがバタリアン撃退用に銃を持ち出して一喝するシーン。吹き替えが一番圧倒されますな


劇場版
マンデル 「明らかに瞳孔の反応もないんだ。それから反射運動もなし。紫斑も出ている。これはもう回復不可能な死後硬直なのだ」
トム    「深刻ですか?」
マンデル 「つまり“死”だよ」

DVD

マンデル 「瞳孔が開きっぱなしで何の反応もない。ヒザをたたいてもそのまま。医学的な見地から言うと手の施しようがない“死後硬直”だ」
トム    「重症かい?」
マンデル 「死んでるんだ」

吹替え

マンデル 「君らにも分かると思うが、瞳孔が開いとる。それに反射運動もない。顔色も土気色だ。つまり、慢性末期的死後硬直だ
トム    「重いんですか?」
マンデル 「完璧な死体だ


ジョーイとエドを診察するマンデル。TV版の「慢性末期的死後硬直」は名訳だな

 

劇場版

ジョーイ  「おい、ブレンダ!」
ブレンダ 「ジョーイ、近づかないで!」
ジョーイ  「おまえの脳みそはいいニオイがする。ウレウレで味もピリピリ
ブレンダ 「まさか! ジョーイ、死にたくないの!」
ジョーイ  「ブレンダ、おれを怖がるのか?」
ブレンダ 「いいわ、食べちゃって」

DVD

ジョーイ  「おい、ブレンダ!」
ブレンダ 「ジョーイ、近寄らないで!」
ジョーイ  「ブレンダの脳みそはいいニオイがする。リッチでスパイシー」
ブレンダ 「スパイシー? 死んだ男には興味がないの!
ジョーイ  「ハニー、怖がらなくていい」
ブレンダ 「OK、分かったわ。好きにして」

吹替え

ジョーイ  「ブレンダ!」
ブレンダ 「ジョーイ、私に近づかないで!」
ジョーイ  「お前の脳みそくれよ! 愛してるんだからさあ! お前もだろ?」
ブレンダ 「食べるの? ジョーイ、わたしそんなこと死んでもヤダー!」
ジョーイ  「ハニー、愛してないのかい?」
ブレンダ 「分かった、いいよ。ああ? カイカ~ン


バタリアン化したジョーイに襲われるブレンダ。東和字幕の「ウレウレで味もピリピリ」が(笑)。吹替えで勝手に追加した「カイカ~ン」も捨て難い

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劇場版
マンデル 「もう逃げられない。前に軍隊、後ろにバタリアンだ。ちょっと横道にそれて一杯やるか。どう?」

DVD
マンデル 「絶体絶命だ。前方に兵士、後ろにはゾンビ。バーへ酔ってカクテルでも・・・」

吹替え
マンデル 「珍しいシチュエーションだ。前に軍隊、後ろにバタリアン。この際、一息入れてだね一杯やるなり・・・え、ダメ? だよね、オーマイゴット


TV版のマンデルは「オーマイゴット」が口癖


劇場版
ジェシー 「その目つき、ボクに何か頼みたいんだろ?」

DVD
ジェシー 「任せて、ブレーカーを上げるんだろ」

吹替え
ジェシー 「その目つき、ママが僕になんか命令する時とソックリだ


バタリアンに囲まれ、トムがジェシーにひと仕事を頼もうとする場面。英語セリフのニュアンスは吹替え版が最も近い

 

劇場版
オバンバ「兵隊さん、そんなものやめて。いじめないで。かよわい女だよ。ウオオオオオ~~! ゲホゲホッ。分かったよ、負けとくよ。今のところは」

DVD
オバンバ「兄ちゃん、物騒なモンはしまいな。ガスが出るよ。女の子は大切に! ウオオオオオ~~! ゲホッゲホッ。脳ミソはあきらめる。負けたよ、今回は」

吹替え
オバンバ「あああ~、もういい加減におしよ。そんなことはやめとくれ。ことわざにもあるだろ『屍に鞭打つな』って。アアアアア~~! 脳みそはいらない、負けとくよ、いまんとこは!」

 

ラストで火あぶりにされるオバンバ。ナイスな吹き替えで見事に締めくくってます(笑)

 

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■DVD版をチェック!

DVDはワーナー・ホーム・ビデオから発売


ビデオやLDは1作目と同様、劇場公開版フィルムをテレシネしたもの。手書き風字幕のシネマフォントは劇場の雰囲気があって好きだけど、画質は悪い。DVDも決して高画質ではないがLDよりかははるかにマシだ。

 

ところで、ファンの間ではLDコレクターズ・アイテムとなっている。それはなぜか。

 

 

DVD版の音楽差し替え問題

劇場公開版(つまりビデオ、LD版)の本編の音楽がDVD版ではすべて差し替えられている。例えば、バタリアンが墓地から這い出てくるシーン。1作目のテーマ曲をアレンジしたサイケな音楽(サントラCDにも収録)が最高だったのに、それがとてつもなくチープでダサいスコアになってしまっている。また、クビ・オバンバが出てきて周囲がギャーギャー騒ぐシーンではDVDでは音楽が流れず、恐ろしいぐらいに盛り上がらない。犬を追いかけるバタリアンをトムが救急車で轢き殺す場面に流れた音楽もダメダメなスコアに変わっている。

 

何が許せないかって、エンド・クレジットに流れた「Monster Mash」も別の歌に差し替えられていること。


コメンタリーで監督が音楽改変の理由を語っている。「サントラの曲は知らない間に決まっていた。出版社も経営していたプロデューサーが映画音楽の版権が欲しかったんだろう。僕は反対したのに何の経験もない作曲家を雇ったんだ。交渉は決裂し、とんでもなく不快な音楽を使わなきゃいけなくなった。(製作会社)のロリマー社がその音楽を聴いて激怒した。それで音楽の入れ替えを行ったわけさ」


つまり劇場版のスコアは意図したものではなく、DVD用に新たに入れ直したということなのだ。でも誰が聴いても劇場版のスコアのほうがテンポもリズムも良い。改悪されたDVD版の音楽は『バタリアン2』ファンの間ではかなり不評だ。


 

●DVD版の編集の違い

 

また、劇場公開版とDVD版ではいくつか編集の違いが見られる。

 

まずDVD版では、オープニングタイトルで軍が開発したトライオキシン245についての
ナレーションが付け加えられている。
細かいところでは、バタリアン化したビリーが母親の脳みそを食べるときに脳みそ!」というセリフを追加。

 

また、ブレンダがバタリアン化した恋人のジョーイに脳みそを喰われるシーンで「好きにして」というセリフが加わっている。そのため音ズレが生じ、次のシーンに移ってもブレンダの悲鳴がモロにかぶってしまっている。


ワーナーはDVD版では東宝東和字幕を封印。これは東和字幕も入れるべきだった。またDVDはビスタサイズで収録されているが、スタンダードサイズをマスキングしたものなので、LDのほうが上下の映像量が多い。

 

さらに難癖を付けると、DVDパッケージのイラストもB級感丸出しでチープ(笑)作品の世界観、雰囲気があまり伝わってこない。タールマンのドアップのインパクトが効果的なLDのほうがナイスデザインだと思う。(ただしオバンバは1作目の流用だし今作では出てこないので詐欺ジャケ)


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ともあれ、劇場公開版やビデオ、LDに慣れ親しんだコアファンは、DVDの“不完全版”にガッカリさせられた。このことからLDがお宝ソフトと言われているのだ。

 

『バタリアン』1作目に続いて日本盤ブルーレイも期待したいところだが・・・・。


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●ホラー映画から足を洗ったヴィーターホン監督のコメンタリーから裏ネタを拾い読み!

 

・監督が書いた別のホラーの脚本をプロデューサーのトム・フォックスが読み、それを『バタリアン2』として製作することになった
・子役を使うと条例で定められた労働時間があるから撮影は大変だった。スタッフは徹夜続きだった
・ホラー映画ファンはホラー・コメディを嫌うから、自殺行為だった。そう考えたらヒットするとは思わなかった
・前作と同じトーンにしたくなかったから、2作目はホラー映画ファン興ざめの大雑把な映画にした
・ホラー映画はもうやらない。ホラーから完全に足を洗って、もっと意味のある映画を撮ることにした