『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』北米では2週目で首位陥落、日本では首位奪取! | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』北米では2週目で首位陥落、日本では首位奪取!




2週間分の興行ニュース。

6月30日~7月2日の週では言うまでもなく『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が1位デビューを飾った。15年ぶりのシリーズ最新作にして完結編となる本作の期待値は高く、オープニング予想は8000万ドルと伝えられていたが、いざ蓋を開けたら初週は6038万ドル。前作『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』のOP興収1億ドルには及ばず、関係者には肩透かしの出足となった。2週目では『インシディアス』シリーズ最新作『Insidious: The Red Door』に首位を奪われており、-54.6%の大幅な落ち込みとなっている。海外興収では期待された中国が予想外の空振り、アジア圏内では日本が最もヒットしているという。製作費は2億9400万ドルと言われており、マーケティング費用を入れると4億ドルは超える。『クリスタル・スカルの王国』の製作費は1億8500万ドルで、全世界興収は7億9065万ドルの大ヒットとなり十分な利益を上げたが、『運命のダイヤル』は上映13日間で累計興収は米国1億3108万ドル、全世界興収は2億5823万ドルと思ったほど数字は伸びておらず、このままだとシリーズで唯一の赤字作品で終わってしまうかもしれない。



不調の原因の1つとして米マスコミは「30代以下の若い客層を取り込めなかった」ことが要因だと指摘している。ジョージ・ルーカスが製作総指揮に久々に復帰したもののスティーヴン・スピルバーグが監督を降板したことや、前作『クリスタル・スカルの王国』の不評でシリーズファンが離れたこと(となるとスピルバーグが監督しなかったことは逆に期待していい理由にもなるのだが)、カンヌ国際映画祭での批評家レビューがあまり芳しくなかったことなども挙げられている。ロッテントマトは公開1ヶ月前は50%台をうろちょろしファンを不安にさせたが、徐々に数字を上げて現在は69%(観客評価88%)と持ち直した。観客満足度を示すシネマスコアは「B+」。批評家は『クリ・スカ』よりは評価していないが、一方観客は『クリ・スカ』よりは断然良いと評価差が生じているのも面白い。これは、批評家からは厳しいレビューが相次いだが、前作『最後のジェダイ』大不評の反動ゆえにファン受けが良かった『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の評価パターンと似ている。



先週末は『インシディアス』シリーズ第5弾となる『Insidious: The Red Door』が『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』から首位を奪った。5作目にして2作目の続きが描かれる本作は(物語の時系列は3→4→1→2→5)、主演のパトリック・ウィルソンが初めてメガホンも取った。オープニング興収は3301万ドルで、『インシディアス 第2章』に次ぐシリーズ2位のスタートを飾り、製作費1600万ドルは初週であっさりと回収。ただしロッテントマトは38%とあまり評価されておらず、かろうじて赤いトマトだったのは1作目だけでそれ以外のトマトはすべてペシャンコになっている。オーディエンス評価だけ見れば70%なので一見受けがいいかと思われるが、より正確な観客評価が分かるシネマスコアは「C+」なので満足度はあまり高くない。日本では前作『インシディアス 最後の鍵』から劇場未公開なので今作もソフトスルーか。累計興収は4255万ドル、全世界興収7424万ドル。



ディズニー/ピクサーの『マイ・エレメント』は公開4週目でも口コミ効果で4位をキープ。米国興収は大台突破の1億1489万ドル、全世界興収2億5909万ドルと堅調に数字を伸ばしている。一方、惨敗しているがドリームワークス・アニメーションの新作『Ruby Gillman, Teenage Kraken』で初登場6位から10位に転落。累計興収は1304万ドル、全世界興収2887万ドルと苦戦しており、製作費7000万ドルの回収は絶望的に。ロッテントマトは66%(観客評価81%)



その他作品の累計興収は、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が3億6158万ドル、全世界興収6億4619万ドル。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』が1億4879万ドル、全世界興収4億979万ドルで、米国興収は『トランスフォーマー/最後の騎士王』『バンブルビー』を超えた。『リトル・マーメイド』が2億9104万ドル、全世界興収5億4461万ドル。『ザ・フラッシュ』が1億593万ドル、全世界興収2億6273万ドル。


一方日本では、6月30日~7月2日の週は『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』と『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の一騎打ちとなったが、観客動員で『東京リベンジャーズ2』が1位に。『インディ・ジョーンズ』は2位スタートとなったが週末興収ではこちらのほうが上回っている。しかし2週目では『インディ・ジョーンズ』が1位を奪い取り、累計興収は13億6000万円に到達した。『東京リベンジャーズ2』は11億6000万円、前作の『-運命-』は26億5000万円を超えている。



『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の評価はYahoo!映画は3.9点、Filmarksは3.8点。アジア圏では日本が最もヒットしていることから日本でのインディ人気は今さら説明不要。ハリソン・フォード最後のインディ・ジョーンズということもあって多くのファンが別れを惜しんだ。完結編の評判は上々、「インディ、ありがとう」と感謝する人は多いが、シリーズ最高傑作と手放しで絶賛する人はあまりいない。 ※以下、作品の一部ネタバレあり

「インディの人生に思いを馳せると年を重ねる哀しさがこれでもかとヒシヒシ迫る」

「永遠のヒーロー!最高の幕引き!」

「レイダースマーチでボロ泣きしてしまった」

「誰もが夢中になった全盛期のインディがほとんど当時のままの姿で走り回っている。10年前なら信じられない状況。『このために何十年も前に撮影をしてたんじゃないか?』という錯覚に襲われた」

「有終の美を飾るという言葉に相応しいハリソン・フォード最終作だった」

「自分中心だったインディは年老いて最後の最後に人をいたわれる老人になった。あの名シーン『痛くないのはどこ?』でいたわる側に転じた。その成長、円熟、衰えに涙した」

「みんな扱いに困っていた『クリスタル・スカルの王国』の立ち位置をもしっかりとしたものに修正した引き締まった完結編になった」

「ハリソンフォードのアクションの切れ具合など初期のワクワク感、高揚感に及ばない点はあるものの、マンゴールド監督の解釈は斬新で納得できる終わり方だったと思う」

「息子マットが戦死してマリオンと上手くいかなくなったインディの人生のはかなさに泣けてくる。冒険家としてもうひと花咲かせたフィナーレとしては文句なし」

「1981年から約40年以上、本物のヒーローとはこうあるべきを体現し続けてきたハリソン“インディ”フォードに心からの敬意を込めて、この完結編を断固支持したい」


一方でこんな辛口意見も。

「砂漠を懐かしむ相棒サラも一緒に冒険させて欲しかった。過去に行ったインディを戻そうとする人物が彼だったら涙腺が崩壊してただろう」

「マッツ・ミケルセンや他のキャラのインパクトはこれまでのシリーズに比べると薄め。退場するにしてもあっさり。これまでのように悪役にはちょいグロめで強烈な死に様を見せて欲しかった」

「せっかくパラマウントのロゴが出てくるのにそこから本編に入らないのはマジでガッカリ」

 

「ヒロインに全く共感できずイライラさせられた。それと敵が間抜けすぎ。撃つことしか能のない連中ばかり」

「過去4作に比べて圧倒的にユーモアが足りない」

「インディ自身が今作では徹底して受け身に回っている。どちらかと言えば、いやいや巻き込まれながら話が進んでいく。中盤あたりでインディが主導権を握るかと思いきや、結局受け身のままだし」

「スピルバーグ監督じゃないので少しテンポも悪い。それに場面場面にタメがない、グッとくるような。にんまりと笑わせてくれるジョークが台詞でも演技の振り付けでも少ない感じがした」

「アクションを含む全体のらしい小気味よさや面白さがなくて、やはりスピルバーグだからこそ成り立っていたタイトルであったということを感じさせてしまう」

「シリーズで育ってきた者としてはインディが老齢になったからといってワクワク感を失って欲しくなった。話がしんみりしてて重い」




その他作品の累計興収は、『THE FIRST SLAM DUNK』が147億6000万円、『名探偵コナン 黒鉄の魚影』が133億1000万円、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が128億4000万円、『劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室』が44億6000万円、『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』が37億3000万円、『リトル・マーメイド』が27億円、『怪物』が18億3000万円、『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』が17億4000万円、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が11億9000万円、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が9億8000万円、『M3GAN/ミーガン』が5億3000万円、『ザ・フラッシュ』が5億1000万円、『忌怪島/きかいじま』が3億3000万円、『大名倒産』が3億1000万円。

14日から宮崎駿監督の注目の新作『君たちはどう生きるか』が公開。事前に出されたのはメインビジュアルだけ、TVCMや予告編、ストーリー、キャストなど公開当日まで完全非公開、それどころかパンフレットも後日販売という“前代未聞の無宣伝”の中で封切り。この手法が吉と出るか、それとも?