第93回アカデミー賞発表! あっさりと終わってしまった異例づくしのアカデミー賞
27日00:00Update●アンソニー・ホプキンスのInstagram動画を追加
第93回アカデミー賞授賞式がコロナ禍での厳戒態勢で行われた。
完全リモート授賞式になると懸念されていたが、例年通り対面形式で開催。いつもならスターたちがハリウッドのドルビー・シアターに集まるのだが、密を避けるためダウンタウンのユニオン駅に特設会場を設置して行われた。出席者の人数を大幅に絞り、海外からのマスコミも限定され、コンパクトな授賞式となった。会場入り出来なかった受賞者はリモートで受賞の喜びを語った。
作品賞は大方の予想通り『ノマドランド』が受賞し、主演女優賞、監督賞の最多3冠に輝いた。フランシス・マクドーマンドは3度のノミネートにおいてすべて受賞したことになる。それ以外は、『ファーザー』(主演男優賞、脚色賞)『Mank マンク』(撮影賞、美術賞)、『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』(編集賞、音響賞)、『Judas and the Black Messiah』(助演男優賞、歌曲賞)、『マ・レイニーのブラックボトム』(メイクアップ&ヘアスタイリング賞、衣装デザイン賞)、『ソウルフル・ワールド』(長編アニメーション賞、作曲賞)がそれぞれ2オスカーずつ分け合い、総ナメした作品はなかった。
多様性が叫ばれる世の中に合わせた・・・・だけではないだろうが、今年のオスカーは“人種”の壁を打ち砕いた。『ノマドランド』で監督賞受賞のクロエ・ジャオは『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグローに続く女性監督2人目の受賞で、アジア人女性監督としての受賞はオスカー初の快挙。昨年のポン・ジュノ監督に続き、2年連続でアジア人監督がオスカーを手にした。さらに『ミナリ』でユン・ヨジョンが韓国人女優初の助演女優賞に輝いた。アジア人女性が助演女優賞を獲るのは、1957年の『サヨナラ』でナンシー梅木が受賞して以来、実に63年ぶり。こちらも快挙の受賞だ。
賞の発表順も異例だった。
いつもならトリを飾る作品賞の発表が最後から3番目に行われたのだ。その後に主演女優賞、そして最後に主演男優賞を発表するという形に。本命視されていたチャドウィック・ボーズマンの史上2人目となる故人受賞を想定しての発表順入れ替えと思われたが、フタを開けたら主演男優賞を獲ったのは授賞式会場を欠席したアンソニー・ホプキンス。『羊たちの沈黙』以来29年ぶり2度目の受賞となったが、リモートでのスピーチもなく、とくに余韻を残すことなく授賞式はそのまま終了。史上最高齢で受賞したホプキンスの熱演を高く評価する人は惜しみない拍手を送り、ボーズマンの受賞を確信していた人は番狂わせの結果に「えっ?」となった。授賞式会場の現場スタッフには(当たり前だが)受賞結果が本当に知らされていないことを証明した一幕でもあった。
今年は2ヶ月延ばしての開催だったが、来年のアカデミー賞授賞式は2022年2月28日に行われる予定。
写真はアカデミー賞公式Twitterより
第93回アカデミー賞受賞作品・受賞者
作品賞
『ノマドランド』
『シカゴ7裁判』
『ミナリ』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『ファーザー』
『Judas and the Black Messiah』
『Mank/マンク』
主演男優賞
アンソニー・ホプキンス 『ファーザー』
リズ・アーメッド 『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
チャドウィック・ボーズマン 『マ・レイニーのブラックボトム』
ゲイリー・オールドマン 『Mank/マンク』
スティーヴン・ユァン 『ミナリ』
主演女優賞
フランシス・マクドーマンド 『ノマドランド』
アンドラ・デイ 『The United States vs. Billie Holiday』
キャリー・マリガン 『プロミシング・ヤング・ウーマン』
ヴァネッサ・カービー 『私というパズル』
ヴィオラ・デイヴィス 『マ・レイニーのブラックボトム』
助演男優賞
ダニエル・カルーヤ 『Judas and the Black Messiah』
サシャ・バロン・コーエン 『シカゴ7裁判』
レスリー・オドム・Jr 『あの夜、マイアミで』
ポール・レイシー 『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
レイキース・スタンフィールド 『Judas and the Black Messiah』
助演女優賞
ユン・ヨジョン 『ミナリ』
マリア・バカローヴァ 『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
グレン・クローズ 『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
オリヴィア・コールマン 『ファーザー』
アマンダ・セイフライド 『Mank/マンク』
監督賞
クロエ・ジャオ 『ノマドランド』
トマス・ヴィンターベア 『Another Round』
デヴィッド・フィンチャー 『Mank/マンク』
エメラルド・フェネル 『プロミシング・ヤング・ウーマン』
リー・アイザック・チョン 『ミナリ』
脚本賞
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『シカゴ7裁判』
『ミナリ』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『Judas and the Black Messiah』
脚色賞
『ファーザー』
『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
『ノマドランド』
『あの夜、マイアミで』
『ザ・ホワイトタイガー』
撮影賞
『Mank/マンク』
『ノマドランド』
『この茫漠たる荒野で』
『シカゴ7裁判』
『Judas and the Black Messiah』
編集賞
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『ノマドランド』
『ファーザー』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『シカゴ7裁判』
衣装デザイン賞
『マ・レイニーのブラックボトム』
『Emma.』
『Mank/マンク』
『ムーラン』
『Pinocchio』
美術賞
『Mank/マンク』
『ファーザー』
『マ・レイニーのブラックボトム』
『この茫漠たる荒野で』
『TENET テネット』
メイク・ヘアスタイリング賞
『マ・レイニーのブラックボトム』
『Emma.』
『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
『Mank/マンク』
『Pinocchio』
音響賞
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『グレイハウンド』
『Mank/マンク』
『この茫漠たる荒野で』
『ソウルフル・ワールド』
視覚効果賞
『TENET テネット』
『ムーラン』
『ミッドナイト・スカイ』
『Love and Monsters』
『ゴリラのアイヴァン』
作曲賞
トレント・レズナー、アッティカス・ロス、ジョン・バティステ 『ソウルフル・ワールド』
テレンス・ブランチャード 『ザ・ファイブ・ブラッズ』
トレント・レズナー、アッティカス・ロス 『Mank/マンク』
エミール・モッセリ 『ミナリ』
ジェームズ・ニュートン・ハワード 『この茫漠たる荒野で』
歌曲賞
「Fight For You」『Judas and the Black Messiah』
「Hear My Voice」『シカゴ7裁判』
「Husavik」『ユーロビジョン歌合戦 ~ファイア・サーガ物語~』
「lo Si(Seen)」『これからの人生』
「Speak Now」『あの夜、マイアミで』
長編アニメ映画賞
『ソウルフル・ワールド』
『2分の1の魔法』
『フェイフェイと月の冒険』
『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』
『ウルフウォーカー』
短編アニメ映画賞
『愛してるって言っておくね』
『夢追いウサギ』
『Genius Loci』
『Opera』
『Yes-People』
国際長編映画賞
『アナザーラウンド』(デンマーク)
『少年の君』(香港)
『皮膚を売った男』(チュニジア)
『Collective』(ルーマニア)
『Quo Vadis, Aida?』(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
短編実写映画賞
『隔たる世界の2人』
『白い自転車』
『プレゼント』
『Feeling Through』
『The Letter Room』
長編ドキュメンタリー賞
『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』
『Collective』
『ハンディキャップ・キャンプ:障がい者運動の夜明け』
『83歳のやさしいスパイ』
『タイム』
短編ドキュメンタリー賞
『Colette』
『A Concerto Is a Conversation』
『ラターシャに捧ぐ ~記憶で綴る15年の生涯~』
『Do Not Split』
『Hunger Ward』