第93回アカデミー賞ノミネーション発表! オスカーが“多様性”を打ち出した作品と顔ぶれ | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

第93回アカデミー賞ノミネーション発表! オスカーが“多様性”を打ち出した作品と顔ぶれ

 

 

 

第93回アカデミー賞ノミネーションが発表された。


最多ノミネートとなったのは、不朽の名作『市民ケーン』誕生の舞台裏をデヴィッド・フィンチャー監督&ゲイリー・オールドマン主演で描いたNetflix映画『Mank/マンク』。フィンチャー監督の父ジャック・フィンチャーの遺稿を映画化した本作は作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、撮影賞、美術賞など10部門にノミネートされた。先日のゴールデン・グローブ賞でも最多ノミネートされていながら無冠に終わってしまった本作だが、オスカー像を手にすることができるのか。



『ファーザー』『ノマドランド』『シカゴ7裁判』『ミナリ』などいずれも高く評価されているドラマ作品がそれぞれ6ノミネート。

これまで「白人オスカー」と言われ続けてきたアカデミー賞だったが、多様性が叫ばれる世間の流れを意識してか有色人種や女性のノミネートが目立つ。監督賞には『ノマドランド』のクロエ・ジャオと『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネがノミネートされた。女性監督2人のノミネートはオスカー史上初の快挙。ゴールデン・グローブ賞ではクロエ・ジャオが受賞し、このままアカデミー賞も輝ければアジア系女性初のオスカー監督となる。

 

 

他にも韓国系アメリカ人のスティーヴン・ユアンが『ミナリ』で主演男優賞、さらに同作から韓国女優のユン・ヨジョンが助演女優賞ノミネートされ、いずれもオスカー初の快挙となった。米国に移住した韓国人一家を描く『ミナリ』はサンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞するなど映画賞レースを席巻。ロッテントマトでは98%の絶賛となっている。アメリカ作品だがセリフの半分以上が韓国語だったことからゴールデン・グローブ賞では作品賞ではなく外国語映画賞としてノミネートされ、一部で批判が起こった(外国語映画賞として受賞した)。アカデミー賞では「作品賞」としてノミネートされ、計6候補となっている。昨年は韓国映画『パラサイト 半地下の家族』の作品賞逆転受賞で沸いたオスカーだったが、今年も“韓国作品”が注目されそう。



コロナ禍の影響で劇場用作品が激減し、NetflixやAmazonなどの配信作品のノミネートが例年以上に増えた。『Mank/マンク』『シカゴ7裁判』はNetflix作品、『サウンド・オブ・メタル』はAmazon作品、『ムーラン』『ソウルフル・ワールド』も劇場公開からディズニープラス配信になったタイトルだ(一部海外では劇場公開)。Netflixは16作品、38部門にノミネートされたと発表しており、配信作品が躍進している。

 


第92回の『パラサイト 半地下の家族』『1917 命をかけた伝令』『ジョーカー』『フォードvsフェラーリ』『アイリッシュマン』『ジョジョ・ラビット』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』といったラインナップと比べると今ひとつ華やかさに欠ける今回のアカデミー賞。前回の授賞式の視聴者数が史上最低の2360万人だったことから今回のオスカーへの世間注目度が気になるところ。

コロナ禍で「映画は劇場で観るもの」から「映画は配信でも観ることができるもの」に変わってしまった2020年、アカデミー賞も大きな変革期を迎えようとしている。

第93回アカデミー賞授賞式は4月26日(日本時間)に行われる。

 

 


第93回アカデミー賞ノミネーションリスト

作品賞
『ノマドランド』
『シカゴ7裁判』
『ミナリ』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『ファーザー』
『Judas and the Black Messiah』
『Mank/マンク』



主演男優賞
リズ・アーメッド 『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
チャドウィック・ボーズマン 『マ・レイニーのブラックボトム』
アンソニー・ホプキンス 『ファーザー』
ゲイリー・オールドマン 『Mank/マンク』
スティーヴン・ユァン 『ミナリ』

主演女優賞
アンドラ・デイ 『The United States vs. Billie Holiday』
キャリー・マリガン 『プロミシング・ヤング・ウーマン』
フランシス・マクドーマンド 『ノマドランド』
ヴァネッサ・カービー 『私というパズル』
ヴィオラ・デイヴィス 『マ・レイニーのブラックボトム』

助演男優賞
サシャ・バロン・コーエン 『シカゴ7裁判』
ダニエル・カルーヤ 『Judas and the Black Messiah』
レスリー・オドム・Jr 『あの夜、マイアミで』
ポール・レイシー 『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
レイキース・スタンフィールド 『Judas and the Black Messiah』

助演女優賞
マリア・バカローヴァ 『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
グレン・クローズ 『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
オリヴィア・コールマン 『ファーザー』
アマンダ・セイフライド 『Mank/マンク』
ユン・ヨジョン 『ミナリ』

監督賞
トマス・ヴィンターベア 『Another Round』
クロエ・ジャオ 『ノマドランド』
デヴィッド・フィンチャー 『Mank/マンク』
エメラルド・フェネル 『プロミシング・ヤング・ウーマン』
リー・アイザック・チョン 『ミナリ』

脚本賞
『シカゴ7裁判』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『ミナリ』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『Judas and the Black Messiah』

脚色賞
『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
『ファーザー』
『ノマドランド』
『あの夜、マイアミで』
『ザ・ホワイトタイガー』

撮影賞
『ノマドランド』
『Mank/マンク』
『この茫漠たる荒野で』
『シカゴ7裁判』
『Judas and the Black Messiah』

編集賞
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『ノマドランド』
『ファーザー』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『シカゴ7裁判』

衣装デザイン賞
アレクサンドラ・バーン 『Emma.』
アン・ロス 『マ・レイニーのブラックボトム』
トリッシュ・サマーヴィル 『Mank/マンク』
ビナ・ダイヘレル 『ムーラン』
マッシモ・カンティーニ・パリーニ 『Pinocchio』

美術賞
『ファーザー』
『マ・レイニーのブラックボトム』
『Mank/マンク』
『この茫漠たる荒野で』
『TENET テネット』

メイク・ヘアスタイリング賞
『Emma.』
『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
『マ・レイニーのブラックボトム』
『Mank/マンク』
『Pinocchio』

音響賞
『グレイハウンド』
『Mank/マンク』
『この茫漠たる荒野で』
『ソウルフル・ワールド』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』

視覚効果賞
『ムーラン』
『ミッドナイト・スカイ』
『Love and Monsters』
『ゴリラのアイヴァン』
『TENET テネット』

作曲賞
テレンス・ブランチャード 『ザ・ファイブ・ブラッズ』
トレント・レズナー、アッティカス・ロス 『Mank/マンク』
エミール・モッセリ 『ミナリ』
ジェームズ・ニュートン・ハワード 『この茫漠たる荒野で』
トレント・レズナー、アッティカス・ロス、ジョン・バティステ 『ソウルフル・ワールド』

歌曲賞
「Fight For You」『Judas and the Black Messiah』
「Hear My Voice」『シカゴ7裁判』
「Husavik」『ユーロビジョン歌合戦 ~ファイア・サーガ物語~』
「lo Si(Seen)」『これからの人生』
「Speak Now」『あの夜、マイアミで』

長編アニメ映画賞
『2分の1の魔法』
『フェイフェイと月の冒険』
『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』
『ソウルフル・ワールド』
『ウルフウォーカー』

短編アニメ映画賞
『夢追いウサギ』
『Genius Loci』
『愛してるって言っておくね』
『Opera』
『Yes-People』

国際長編映画賞
『Another Round』(デンマーク)
『少年の君』(香港)
『皮膚を売った男』(チュニジア)
『Collective』(ルーマニア)
『Quo Vadis, Aida?』(ボスニア・ヘルツェゴビナ)

短編実写映画賞
『白い自転車』
『プレゼント』
『Feeling Through』
『The Letter Room』
『Two Distant Strangers』

長編ドキュメンタリー賞
『Collective』
『ハンディキャップ・キャンプ:障がい者運動の夜明け』
『老人スパイ』
『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』
『タイム』

短編ドキュメンタリー賞
『A Concerto Is a Conversation』
『ラターシャに捧ぐ ~記憶で綴る15年の生涯~』
『Colette』
『Do Not Split』
『Hunger Ward』