『まだ結婚できない男』レビュー●第4話「母親とケンカして悪いか!!」 | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

『まだ結婚できない男』レビュー●第4話「母親とケンカして悪いか!!」

 

 

まだ結婚できない男

 

第4話「母親とケンカして悪いか!!」

 

 


●第4話ストーリー(公式サイトより)
水漏れした自宅から避難し、娘の圭子(三浦理恵子)の家に泊まっていた育代(草笛光子)が、ささいなことで圭子とケンカをして桑野(阿部寛)の部屋に転がり込んでくる。部屋に人を入れない主義の息子のことなどお構いなしの母親を何とか追い返したい桑野は、仮住まいを用意させるべく、水漏れの原因を作ったリフォーム会社と交渉してほしいと、育代を連れてまどか(吉田羊)に依頼する。
 
その後、まどかから有希江(稲森いずみ)を紹介され、英治(塚本高史)とも久しぶりに再会した育代は、まどかに、息子のまわりにたくさんの人がいて安心したと胸の内を明かす。その言葉に母親の愛情を感じ、桑野と育代の母子関係にどこかうらやましさを感じたまどかは、「お母さんといると、自分の母親といるより落ち着きます」と、育代にある悩みを打ち明ける。
 
一方、桑野の元には圭子から電話が。意地を張って素直になれない圭子は、数日後に誕生日を迎える育代のために、今年は自分に代わって桑野に誕生日会を開いてほしいという。さらに、必ずプレゼントを渡すよう命じられ、困り果てた桑野は渋々まどかに相談しに行く。まどかから「要するに照れくさいという事ですね」と指摘され、痛いところを突かれた桑野が、思わず「自分はどうなんですか」とムキになると、まどかは「私は親不孝な娘なんです…」とポツリ。それを聞いた桑野は、いつもと違うまどかの様子に動揺してしまい…?

 

 

 


●レビュー
育代ママの温かみのある存在感が活きた第4話

第4話は桑野ママこと育代と息子・信介の一大バトルぅ!チュー

育代っていつも中川家のシーンでしか出てこないんで、てっきり娘夫婦のお世話になってるもんだと思ってたけど、現在も独り住まいされてるようです(桑野パパは既に他界)。前シリーズでは老人ホームに住む気マンマンでパンフレットも取り寄せてたけど、その計画はどうやらなくなったみたい。自宅が水浸しになってしまい中川家に避難してる最中、娘の圭子と他愛ないことで喧嘩して家出してきた育代、桑野の家にやって来る。しかしいまだに家に人を入れたがらない桑野。母親すら家に入れたくないからって、スマートスピーカーの“ミスター・スポック”にカモフラ用の駅アナウンス音声を仕込んでるってどこまで用意周到なんだよ(笑)隣人の早紀のせいで居留守がバレ、結局、家に入れることに(育代が困ってるところを助けるのはいつも隣人)。




育代、桑野の家についに“初上陸”。てか、これまで一度も行ったことなかったのか。育代、前作の第10話でもマンションには来たものの桑野が留守で、たまたま通りかかったみちるに助けられ、結局彼女の部屋で“女子トーク”に夢中だったっけ。桑野は家に他人がいることに気が気でない。そこで前作でケンを預かってた時に活躍した遠隔操作監視カメラが再登場!爆  笑 監視カメラに気づく育代ママに桑野は「あなたが知らないうちに文明は進歩してるんだ」と電話で話すが、帽子でカメラを隠され「文明ももろいものね」と、してやられてしまう。育代の勝ちーっ。チュー で、家が水浸しになった件で施工業者に補償を求めて桑野親子はまどかに相談することに。



みちるに助けられる育代さん(前作)


早紀に助けられる育代さん(今作)



一方、育代の存在にどこか癒されているまどかは母親とあまり上手くいってないことを明かす。この2人が車中で会話するシーンがイイですな。
ウインク 桑野の悪口が書かれている「やっくんのブログ」を見ても「この人、よっぽどあなたのことが好きなのね。可哀想な人なのよ。寂しいのよね」と、育代は怒るどころかそういう人にも同情しちゃう懐の深さ。人生経験の豊かさがモノを言うわけね。



隣の部屋から育代さん(前作)


隣の部屋から育代さん(今作


前作では桑野の結婚相手にと早坂夏美先生に贈り物攻撃をしたり、沢崎のことを気にかけていた育代。今では結婚よりも偏屈な息子が本当の孤独人間になっていないか心配してるようで、彼の周りには色んな人がいることを知り、ひと安心。以前にも「俺はいつも1人だよ」と強がる息子に「あなたは本当の孤独を知らないのよ」と諭していた。



妹の圭子に母親の誕生日プレゼントを忘れないでと釘を刺された桑野は、まどかに何を贈ればいいか相談。てか、忙しい弁護士にそんなこと聞くなよ(笑)。いや、弁護士まどかって結構ヒマなのか? 来週は鎌倉で女3人旅してるし。そろそろまどかも大量のバナナを手に何度もやって来る桑野をウザイと思い始めてきてる様子(笑)。前作でもしょっちゅう病院に行く桑野は夏美に「薬を飲んで、それでも体調が悪かったら来てくれませんか?」と呆れられてた。いつもなら憎まれ毒舌攻撃で相手を負かして(イラ立たせて)ドヤ顔の桑野だが、今回は「私は親不孝な娘なんです。結婚もしないで迷惑ばかりかけて・・・・。だから何ですか!?」とまどかの口撃に呆気に取られ、そそくさと退散。そういえば前作の夏美もお見合いばかり勧めてくる父親とは犬猿の仲だったし(その後は仲直り)、今後はまどかの実家エピソードも描かれそう?

 



まどかから「ルシャノワールの香水とかどうですか?」(ちなみにルシャノワールの香水なんてものは存在しない)と提案された桑野は早速店に行くものの、男1人で入る勇気はなく、店の前を行ったり来たり。変な帽子をかぶってウロウロするその姿は完全に不審者
爆  笑(桑野の帽子選びのセンスのなさは前作で立証済み)。で、結局、有希江に代わりに買ってきてもらうことに。どこでも1人で店に入れる耐性を備えているはずの桑野、こういうオシャンティな店にはまだ入れないようだ(でも前作で夏美の結婚祝いにティーカップを買いにそういうオシャンティな店にフツーに入ってた気がするが)。




ジムで汗を流す桑野。前回から登場のライバル心むき出し男(デビット伊東)の名前が「薬丸」であることが判明。「ヤクマル? ヤクマル・・・・・やっくん? まさか・・・」と疑惑を深める桑野。彼が・・・・ブログの管理人なのか? 無事にプレゼントをゲットできた桑野、「♫かあさ~ん、かあさん、かあさん」と謎の歌を口ずさみながらちょっとご機嫌。ウザがってても、なんだかんだで母親思いだったりする。




しかしせっかく夕食の支度をしてくれていた育代とヒラメの調理でまたモメてしまう。「あなたのところにこういう人でもいいというお嫁さんが来てくれたらいいなあと思ってたけど、私の考えは間違ってた。不幸な女性を生み出さないためにも、あんた結婚しないほうがいい。どうしてそうなの? どこでそうなったの? 私、何か間違ってた?」と責められる桑野。2人は“似たもの親子”だから素直になれず衝突してしまう。育代は息子の変わらぬ偏屈な物言い、生き方に肩を落としながら家を出ていく。母が作ってくれたヒラメの煮付けを口にする桑野。アタシも似たような環境なので決して他人事とは思えないこの場面、なんだかしんみり。
キョロキョロ




しかし、
しんみりさせられたシーンの90秒後には、なぜか早紀んちで、まどか、有希江、ゆみが育代の誕生会を開いてたりする。なんでやねん?(笑) それほど親しい関係がまだ築かれてるわけでもないのになぜ彼女らが意気投合して育代の誕生日を祝ってあげてるの?という多少の違和感を感じたりもしたけど、育代の人柄に惹かれた彼女たちの優しさの表れなんでしょう。ウン、そう思うことにしよう(しかし第2シリーズは人間関係の“省略”がチラホラありますな)。この場面で笑ったのはドアからドアへ一瞬で高速移動する桑野。完全に「桑野は見た!」(笑)






結局、育代は中川家に戻ることに。まだ誕生日プレゼントの香水を渡せずじまいの桑野。しかしまどかに尻を叩かれて、育代が乗るタクシーを必死で追いかける。やっとの思いでプレゼントを渡すことができ、ちょっとだけ本音で語り合えた育代と桑野。「こんなふうにお誕生日に物をもらうのはあと何回かしらね。いつまでもあんたのそばにいられるわけじゃないのよ」と話す育代ママ。50代を再認識し「いつまでも同じような生き方をしてていいのか」という複雑な表情を浮かべる桑野。ココでまどかが桑野に話した「私は親不孝なんです。結婚もしないで迷惑ばかりかけて・・・・」のセリフが微妙にリンクしてくる。






育代ママ、桑野もタジタジになるぐらいのしっかりママっぷりは健在、どころかパワーアップしてる気がする
(笑)。いつまでも結婚しない息子の身を案じる育代と桑野のやりとりは前作からちょいちょい描かれてきたものの、桑野親子をしっかり語られたことはなかった。86歳とは思えない草笛光子さんの温かくて愛らしさもある素晴らしい存在感がこのエピソードでの“ほぐし役”になり、第4話は今シリーズで一番楽しめる内容になってました。似たもの親子の微笑ましい関係にホロッとさせられたりも。爆  笑 「親と子供って何だろう」と改めて考えさせられるイイエピ。いつまでもあると思うな親と金。




今週の「金田を探せ!」は、小包の送り主が「金田」(第1話) → 事務所の予定表に「金田と会食」(第2話) → 本の著者名が「金田」(第3話)に続いて、桑野のスマホの不在着信履歴に「金田裕之」。もう会食してる仲なんだから電話ぐらい出てやれ
(笑)



あと今回もタツオの表情が良かったですな。育代を探す桑野をすっごい気にしてるタツオがまるで人間みたい
(笑)





この場面、大好きッ!
●母親とあまり上手くいってないことを育代に話すまどか
●「ドンサック 幻のカレー味」に反応する桑野
●ドアからドアへ高速移動する桑野

●桑野から誕生日プレゼントを受け取る育代

 


桑野のうんちく豆知識
●小津安二郎監督の名作『東京物語』に詳しい桑野


桑野のうっかり毒舌
●(まどかに払おうとした相談料が不要であると知った育代に)「依頼すると決めたら5000円はいらないんだ。後でもっとバカ高い請求書が来るから」 まどか「・・・・・」






第4話「母親とケンカして悪いか!!」 85点

 

 


おまけフォトギャラリー:ケンとタツオ




 

 

 

 

 

「まだ結婚できない男 チェインストーリー #4.5 村上英治の、大人への階段」はコチラ

 

 

次回予告