20世紀フォックス・ジャパンが総スカンを食った『ドリーム 私たちのアポロ計画』邦題問題 | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

20世紀フォックス・ジャパンが総スカンを食った『ドリーム 私たちのアポロ計画』邦題問題

 

 

 


20世紀フォックスが『Hidden Figures』(原題:隠された人たち)を『ドリーム 私たちのアポロ計画』という邦題で公開を予定していたが、急遽9日に『ドリーム』に変更した。

 

作品で描かれているのは、アポロ計画ではなくマーキュリー計画なのに、副題に「アポロ計画」が入っているのはいくらなんでもおかしいという指摘、批判が相次いだ。NASAが取り組んだ宇宙開発計画には「マーキュリー計画」(1959~1963)、「アポロ計画」(1961~1972)、「ジェミニ計画」(上記2つの中間にあたるもの、1961~66年)があり、日本人には「アポロ計画」が一番しっくりくるから、というのが変更理由なんだそうな。えー


今回の邦題の件で20世紀フォックス・ジャパンに取材したBuzzFeed Japanの記事によると、作品担当者いわく「映画の内容としてはマーキュリー計画がメインであることは当然認識しています。その上で、日本のお客様に広く知っていただくための邦題として、宇宙開発のイメージを連想しやすい『アポロ計画』という言葉を選びました。どちらも当時のNASAで並行して動いていた宇宙開発計画であり、最終的にアポロ計画につながるものとも捉えられる」なんだそうな。ネット上で多数の批判があることも理解しているようで「作品の本質にあるのは、偉大な功績を支えた、世の中では知られていない3人の女性たちの人間ドラマ。ドキュメンタリー映画ではないので、日本のみなさんに伝わりやすいタイトルや言葉を思案した結果」と当初の邦題に決めたという。しかし、あまりの批判の多さについに折れ、サブタイトルを削ることになった。

当初の邦題のままで公開していたら「アポロ計画」の話だと思って観に行って「全然違うんだけど!」と納得できないまま劇場を後にする人が続出してたのではないか? 今の『ドリーム』もシンプルかつ直球で悪いとは言わないが、コレだと何の映画か分からないという意見もある。『ドリーム ~私たちのマーキュリー計画~』じゃダメなのか。作品をヒットさせる、少しでも観客を呼んで採算を取るという配給会社の立場も分かるし、観客にしっくりくる邦題を考える作業は大変なのだろう。しかし、「観客には分からないだろう」という一方的な決めつけで、内容を捻じ曲げた邦題が付けられるのは理解できない。
プンプン


20世紀フォックスは3月にも『猿の惑星:大戦記』から『猿の惑星:聖戦記』に邦題を変えている。この時は「変更の理由は、映画の完成が近づくにつれ、猿と人類の地球支配をかけた大規模な戦いだけではなく、シリーズを通して共感を得てきた主人公シーザーの心の葛藤、人類との共存というテーマはもちろん、本作の戦いが猿と人類ともに信じる者のために絶対に負けられない心の戦い“聖戦”という意味合いを多く含むことが分かり、より制作側の意図を汲み取った『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』に邦題を改めた」と同社のTwitterで明かしており、ファンから高く評価されていた。





20世紀フォックス以外にも、ワーナージャパンがゲーム世代の観客を呼び込むために当初は『キング・アーサー 聖剣無双』としていたが、本社から難色を示されたようで、“聖剣無双”を外して『キング・アーサー』に変更している。

 

 

 

さらに酷いのは、ディズニージャパン。前作がヒットしていないからという理由だけで「シリーズ続編もの」というイメージをなるべく取り払うために、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』を『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』という意味不明な邦題に変え、ファンから不評を買ったことはご承知のとおり。前作を観ていないとキャラクターの関係性は全く分からないのに、もしディズニージャパンの思惑どおりに「シリーズものと思わなかった観客」が本作を観てどう思うのだろう? 「なんのこっちゃ」になるに違いない。ましてや映画にそれほど知識がない人には「リミックス? 前やったやつの完全版とかディレクターズ・カットなの?」と勘違いして「じゃあ観なくていいや」ということにもなりかねない(実際、私の周りでもそう思ってた人が何人かいたガーン)。今回は「Vol.2」という数字が物語のポイントにもなっている。にもかかわらずだ。結果、作品評価は高いのに、全米興収、世界興収ともに前作超えの大ヒットとなっているのに、日本だけは一度も1位を取ることなく興行成績は不振。今回のディズニージャパンの戦略ミスの責任は決して小さくない。

 

 

 

また、同社は11月公開の『ソー ラグナロク』の邦題を『マイティー・ソー バトルロイヤル』に変更。「日本人だと“ラグナロク”って意味分かんないから」という配給会社の一方的決めつけで変えられ、SNSでは「ダサすぎ」「B級感丸出し」「元に戻せ」「マーベル愛がなさすぎる」と極めて不評。変えるにしてもさ、『バトルロイヤル』ってもう死語に近い気がするのだが・・・・。プンプン




 

 

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