2017冬ドラマレビュー3●『A LIFE ~愛しき人~』『下克上受験』 | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

2017冬ドラマレビュー3●『A LIFE ~愛しき人~』『下克上受験』

2017ドラマ

ざっくりと本音でレビュー

-第3回-

 

 

 

注意ネタバレしてます。苦情は受け付けませんニヒヒ
※Yahoo!テレビ評価点数は3月20日時点のもの

 

 

 

 

 

A LIFE ~愛しき人~ 65点
(TBS/全10回/視聴率=初回:14.2%、最終回:16.0%、平均:14.52%)
Yahoo!テレビ評価/2.60点(1796人)


浅野忠信演じる壮大の行動心理が意味不明すぎ


木村拓哉、浅野忠信、竹内結子、松山ケンイチ、田中泯ら人気俳優を固めた医療ドラマ。『僕シリーズ』3部作や『フリーター、家を買う。』『ゴーストライター』『フラジャイル』の橋部敦子脚本によるオリジナル・ドラマ。


SMAP解散後の初の主演ドラマとあって注目されていたキムタクが今回挑んだのは、心臓血管と小児外科が専門の職人外科医の沖田。ドラマは2015年春期の『アイムホーム』以来となる。


「何を演じてもキムタク」と新作を出すたびに色々言われるキムタクだが、今回もそんな批判にめげず“キムキムタクタク”を全面的に押し出して主人公を好演。チュー しかし今作はちょっと好意的に見ていて、これまでの“なんでも出来るHEROなオレサマ感”はいつも以上に抑えていたし、苦悩し、失敗し、さらには自分を病院から追いやった幼なじみの副院長・壮大(浅野忠信)が、恋人・深冬(竹内結子)と結婚している事実を受け入れて静かに葛藤する一面を見せ、ごく自然な“普遍的な男”を演じているところは好印象。グッ 医療ドラマというより、嫉妬や愛憎、謀略が入り乱れるヒューマン・ドラマとして楽しんだ。

 

 

脳に腫瘍を患った深冬を救うための治療法を見つけられないまま、日々葛藤する沖田。そのメインエピソードを柱に、毎回運び込まれてくる病人の手術に沖田が悪戦苦闘するサブエピソードが描かれる2本並行ストーリーが基本スタイルになっている。

 


出来杉くんである沖田に妻・深冬の手術をお願いしておきながら徐々に嫉妬に駆られていく壮大。しかし彼は、愛人(菜々緒)とヨロシクやっていて、深冬の父(柄本明)と病院の経営方針を巡って対立し、裏で病院乗っ取りを計画するなど、奥さんが大変なことになっているのにダークサイドまっしぐらに転落していく。とにかく壮大が一体何をしたいのか最後までよく分からない迷キャラ。いきなり「やっぱり深冬は自分で手術する!」と言い出すなど、ドラッグでもやってんじゃないか?と言うぐらい行動心理がグチャグチャ。ついには病院乗っ取りが院長にバレて解任され、沖田に「深冬のオペはお前がやれ!」と、責任放棄も甚だしいガキみたいなことを言って姿をくらます始末。ホント、最低な男である。脚本家もこの壮大というキャラをどう落としこむか全然整理できていないんじゃないか?と疑いたくなるほど、観ているほうも戸惑ってしまう。えー

 


すっかりダークキャラになってる壮大にほとんど感情移入できないままの最終回、沖田1人でオペした深冬の1回目の手術では腫瘍を取りきれず断念。壮大、沖田に説得されて2人で力合わせて深冬のオペに挑む。“昔の2人”に戻って息ぴったりなコンビプレーで打ち勝つこの見せ場はシメにふさわしい場面に仕上がってたと思う(このオペシーンでイキイキと演じる浅野忠信を見よ)。グッ


しかしね、その後の諸問題が自動的に解決していく展開がやはりザツなんですわ。えー 愛人作って、手術失敗して死んでもしゃーないとまで言われたダンナをケロっと許しちゃう深冬とか、裏切り行為で解任したはずの壮大に病院任せちゃう院長とか、対立していた壮大と羽村先生(及川光博)がすんなり元通りになっちゃうとか、壮大は妙にイイやつになっちゃうとか(いや、あのニヤケ顔は絶対に裏あるはず。改心してないな、アレはニヒヒ)、これまでのいざこざは一体何だったんだ?と拍子抜けするぐらいのハッピーエンドで適当に片付けてられていく。腹黒い壮大をそんな簡単に許しちゃう皆さんの度量の大きさには頭が下がります(褒めてませんよ真顔)。あと、マツケン演じる井川はムードメーカーというよりただのウザキャラだったし、深冬の娘役の子役演技はもうちょっと上手く演技指導してあげてください。これは作り手の責任デス。

 


いかん、ディスリが多くなってしまった。そんな中でドラマの空気をピシッと引き締めてくれたのが主人公の父を演じた田中泯。彼が営む寿司屋でカウンター越しで、素っ気ないけどどこか温かみのある会話を交わす沖田親子のシーンにほっこりした人も多いのでは。


あ、そうそう、第5話のゲストは武田鉄矢。実はTBSの連続ドラマでは『3年B組金八先生』第3シリーズ(1988)以来の出演となる浅野忠信との“再会”を果たし、『金八』ファンとしてはちょいニンマリしたりね。チュー

 

 

 

 

 

 

 

 


下剋上受験 55点
(TBS/全10回/視聴率=初回:10.9%、最終回:8.0%、平均:8.16%)
Yahoo!テレビ評価/3.77点(298人)


お受験ドラマとして魅せるポイント、間違ってないか?


桜井信一氏の同名ノンフィクション・ベストセラーのドラマ化。難関の中学受験に挑む桜井一家を、阿部サダヲ、深田恭子山田美紅羽が演じる。阿部サダヲの父親役に小林薫。中卒で学歴コンプレックスの父親が娘には自分のような人生を送ってほしくないと、進学塾にも通わせずに親子二人三脚で最難関の私立中学突破に向けて約1年半にわたる受験勉強に挑む。

 

 

こんなドラマみたいな話が実話なんだから、そりゃドラマ版はもっとドラマチックになっているんだろうなあと期待してしまうもの。原作では、覚えの悪い娘に手を焼きすぎて父親がうつ病を発症するなどかなり過酷だったようだ。そのあたりのエピソードもサラリと触れてはいるが、基本はファミリードラマなのであまり重たくならない程度にとどめられている。とはいえ序盤では、娘の受験ばかり気にして、仕事をおざなりしてる主人公に共感できるはずもなく、視聴者をイライラさせてどうすんだ?とは思ったけどね。えー


そもそも阿部サダヲ主演のドラマなのだから、どんな作りになるのか大体予想できる。しかしねー、ここまで受験版『マルモのおきて』にしてしまうのはいかがなものか。原作では、奥さんは娘の受験にはあまり乗り気でなかったようだが、そのままドラマ化するとちょっと後味が悪くなってしまうため、深キョンは夫が辞めた不動産会社で働くという良妻という設定に変えられている(夫の辞めた会社になぜ勤めるのかよく分からないこの二度手間感真顔)。ま、このへんの改変は別にいいんですけど・・・・・。

 


受験という大きな壁に向かって家族が一丸となるドラマには一応なってはいるが、問題なのはその描き方で思ったほど心に迫ってこない。苦難に立ち向かう家族の絆と、彼らを支えるサブキャラの話ばかりに焦点が当てられ、こっちがもっと見たかった「受験にどう立ち向かったのか」「受験勉強をどう克服していったか」というテクニックの部分があまり描かれず、正直、消化不良感が大きい。この消化不良感は映画『ビリギャル』を観た時とよく似ている。『ドラゴン桜』のように“受験必勝ポイント”であるノウハウの部分をもっとがっつり見せてくれるのかと想像してたのだが・・・・。そこをちゃんと描いてこそが“お受験ドラマ”の面白くなるポイントなんじゃないの? “受験”はある種のスポ根なんだから。なんなら『セッション』ぐらいの燃えるスポ根ドラマにしたって良かった。

 


しかし本作はコトあるごとに、主人公が思いにふけるしんみりした感動演出や感傷的な場面ばかり描かれるので、観ていて「あのー、メソメソ泣いてるんだったら先に進んでほしいんですけど・・・・」と、画面の向こうの阿部サダヲに何度言いたくなったことか。チーン 週に15本ぐらいドラマを観ていると、こういう“雰囲気”だけを寄せ集めたような演出はやっぱり好きになれないなあと気づかされるわけですよ、そこに大したドラマはないから。

 


佳織の先生が受験に反対するエピソードとか、桜井一家の家計ピンチを知ったサダヲ・パパ(小林薫)が首くくって自分の保険金でなんとかしようとするくだりとか(後味悪すぎでしょ。てか、この家族、家賃もろくに払えてないのにどうやって私立に通わせるつもりなのか)、居酒屋で駄弁ってる連中とか、バーベキュー大会の話とか、深キョンのお仕事バリバリやってます!話とか、ガスコンロ点けっぱなで火事になりかけたとか、そういうドラマ的効果の薄いサブエピソードは無駄に入れてくるのに本筋をきちんと描かないのは、ドラマとしてどーよ? 原作にはないエピソードを色々と盛ってるくせに、一歩進んで二歩下がるようなもたついている場面が多すぎる。で、なんだかんだで終盤に近づき「佳織の偏差値が40から60に上がった」とナレーションで済ませるというこの手抜きっぷり。オイオイ・・・・・。ムキー

 


佳織役の山田美紅羽ちゃんは、泣いた顔も笑った顔も、ものすごいイイ表情を生き生きと見せてくれる超絶的にキュートなコで、一生懸命なのはちゃんと伝わってきました(最終回でのスピーチ場面は感動もの!)。

 


お受験ドラマとして魅せるポイントを見誤り、掘り下げ不足も否めず、創作臭が出すぎてしまったのはザンネンでした。えー