2016夏ドラマレビュー 6●『家売るオンナ』『営業部長 吉良奈津子』『グ・ラ・メ!』 | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

2016夏ドラマレビュー 6●『家売るオンナ』『営業部長 吉良奈津子』『グ・ラ・メ!』

2016ドラマ

ざっくりと本音でレビュー

-第6回-

 

 

 

注意ネタバレしてます。苦情は受け付けませんニヒヒ
※Yahoo!テレビ評価点数は9月27日時点のもの

 

 

 

今回は「働いて輝くオンナ」のドラマ3本をレビュー。照れ

 

 

 


家売るオンナ 70点
(日本テレビ/全10回/最終回視聴率:13.0%/平均視聴率:11.58%)
Yahoo!テレビ評価/4.06点(1032人)


民放ドラマでは最高平均視聴率となった本作。それでも11.58%が最高なので今夏ドラマがいかに不作だったことかが分かる。


どんな家でも必ず売ってみせると豪語するスーパー営業ウーマンの三軒家万智(北川景子)がさまざまな手腕を発揮して物件を売りまくっていく。


後々になって脚本が大石静だと知ってちょっと意外。これまでのドラマレビューでの大石作品の評価は『ギネ 産婦人科の女たち』(60点ぐらい)、『クレオパトラな女たち』(50点ぐらい)、『お天気お姉さん』(60点)、『ガラスの家』(40点)、『家族狩り』(65点)、『ゼロの真実 ~監察医・松本真央~』(55点)、『セカンド・ラブ』(リタイヤ)、『コントレール ~罪と恋~』(55点)。「なんかいつも男女の性愛や情愛をねちっこく描いているオールドスタイルな脚本家でしょ?」という偏見があったのでこの人の作品をあまり高く評価した記憶がない(むしろ苦手)。なのでこういう分かりやすいコメディも書くとは意外だった。


しかし、しょっぱなから北川景子無感情なロボット演技丸出しなキャラとして出てくるので「ワチャー、ボクの苦手なタイプだわ、コレ」とリタイヤ覚悟で期待せずに観ていたのだが、思いのほか「サブキャラの魅力 + ストーリー + テンポの良さ」に妙な心地良さを感じ、はじめは完全に苦手だったヒロインを徐々に受け入れている自分もいて結果的に「なんか面白かったな」と好印象に終わったのはよろしくてよ。ウインク


これまでの『LADY ~最後の犯罪プロファイル~』『探偵の探偵』のような「なんか表情に乏しい女優さんだなあ」的な北川景子よりも『謎解きはディナーのあとで』『悪夢ちゃん』での分かりやすい明朗演技をする北川景子のほうが好みなんだけど、本作のような“無感情無表情”なロボコップ演技をする彼女でもちゃんと魅力的に映るのは三軒家の過去を含めたキャラ造形や設定に厚みがあったことと、「GOー!」のリピート場面などで見せ方に変化をつけた演出のおかげ。だから、のっぺりしがちなキャラにもちゃんと“味つけ”されている。照れ


とはいえね、毎回、三軒家がさまざまな事情を抱えた客の物件を売るんだけど「これってほとんど押し売りじゃね?」と、なんか納得できない回も多かった。

 

初回の医者夫婦の物件は根本的な問題の解決になっていないし、2話の引きこもりのオッサン問題は「これでいいの?」感がハンパなかったし、3話の元恋人同士の物件エピソード、9話の二世帯住宅の話、そして最終回物件の逆転ホームラン的なかなり強引な話のまとめ方・・・・・。なんかむりくりにヨキコトげな話にまとめてないかあ?プンプン
 

「私の仕事は家を売ることです!」と言い切ってその家庭の複雑な事情は知らんぷりなヒロインの考え方も初めは共感できなかった(ま、フツーは不動産屋だって他人の私生活まで踏み込まないけど)。個人的に面白かったのは、8話のお天気お姉さんの物件エピソードかな。


キャラで唯一、最後までイケ好かなかったのが白洲美加(イモトアヤコ)。大して仕事出来ないくせに、文句垂れてるか千葉雄大に色目使ってるかだけのボンクラキャラで、最終回でちょっとは成長する一面を見せるのかと思いきや結局、大した成長もしないままおめでた退社して「私、幸せ~」オーラを出してるこいつだけは呪い殺されてくれ!って思ったわ。ムキー


ま、なんだかんだで楽しんでしまったので「美人でもこんな無愛想にしてる女が営業なんか務まるわけないだろ!」という誰もが指摘したくなるツッコミは今回はしないでおこう。チュー


このブログのドラマレビュー開始後としては大石静ドラマの最高傑作!・・・・・は言い過ぎだが大石静ドラマとしては見やすい作品になっていたし、北川景子の当たり役と言っても過言ではないので続編SPとかで帰ってきてほしいですなあ。

 

 

 

 


営業部長 吉良奈津子 60点
(フジテレビ/全10回/最終回視聴率:6.4%/平均視聴率:6.96%)
Yahoo!テレビ評価/2.95点(358人)


育児休暇を経て、3年ぶりに職場復帰した広告代理店の売れっ子クリエイティブディレクターが営業開発部に異動となり、数々の難題に真正面から向き合う。連続ドラマの主演は『救命病棟24時』第5シリーズ以来、3年ぶりとなる松嶋菜々子。脚本は井上由美子。


ワーキング松嶋ママが今日も行く!な応援歌ドラマ。仕事と家庭を両立させながら働くママさんも多い。その存在意義を示すという意味ではこの題材は「アリ」だと思う。ワーママ社会って前からあるけど、共働きでないと食べていけない家庭がどんどん増えている中、極めて今日的なテーマでもある。


なんだけど、ヒロインは広告代理店という花形業界で働いててダンナさん(原田泰造)も子供の面倒見が良くて優しいし(初めは)、最初から恵まれている環境に置かれている人物なんですね。それほど高くない賃金でパートをしながら子供を懸命に育てているシングルマザーと比べてたら十分に幸せな主人公でして・・・・・。そういう人たちが本作を観たらどう思うんだろうか。えー


お話そのものは全然新味はない。むしろ古い。保育園の盆踊りの最中に会社から呼び出されたりとか結局、仕事を優先しがちになり、ダンナとすれ違いが生じて、そのダンナはシッター(伊藤歩)と不倫しそうになったりとかもう何百回見てるんだろ、こういう展開・・・・・てな感じで。プンプン


多忙を極める広告業界なんだからダンナはもうちょっと理解と包容力があってもいいんじゃないの?って思ってしまうし、その家庭にズケズケと入ってくるシッターのエピソードはどうしても蛇足に感じたうえ、物語のテンポを悪くしていた。嫁に家庭に入ることを望んでいるお姑とのいざこざも毎度のパターン。


「仕事と家庭で頑張るワーママ」をテーマにしてるわりには仕事7:家庭3ぐらいの割合で描かれてるため、結局「仕事で輝いている女性が一番美しい」になっちゃってるし。そういう女性目線から語られると、燻ってる男側は不倫に走っちゃうのもちょっと分かる気がするなあ・・・・・。ニヒヒ


クリエイティブの最前線で活躍し、天狗になってた吉良が営業開発部に配属になった時は部下や同僚をどことなく見下していて、周囲から反感を買いやすい人物だった。彼らの名前すら覚えなかった彼女が、仲間に助けられて自分を見つめ直してチームとしての共同意識が芽生えていく。最終回で彼女が社長の前で仲間1人1人の長所を熱弁するシーンはベタなんだけど、ちょっと胸を熱くさせてくれるものがあった。


で、最終回。


会社の不正隠しのためだけに利用されていた営業開発部の廃部危機問題では、吉良の敵だと思われていた上司の斎藤(石丸幹二)が、実は会社の不正の証拠を握るために吉良を営業開発部に異動させていたというドンデン返しに発展。これは『少女に何が起ったか』で毎回、キョンキョンを「薄汚ねえシンデレラ!」と罵ってた石立鉄男が実は・・・・・ぐらいの不意打ちなオチで驚かせる(人によっては「なんだそりゃ」だが)。イイヒト役が多い石丸幹二なのに珍しいワルキャラだなと思ってたけどやっぱりそういうサプライズな展開が用意されてたのね。これがもし木下ほうかだったら「嘘くせ!」って違和感あっただろうけど。てへぺろ


広告のプレゼン場面では、高木(松田龍平)がワーママの吉良を見て「Like a Mother」を発案するのだが、先述した「仕事7:家庭3」問題にも絡むんだけど、吉良にそもそも「母性」を感じられなかったのが惜しまれるところでそのプレゼン、今ひとつ説得力がない。てか、このドラマ、プレゼンシーンがよく出てくるのだが、そのどれもがピンと来ないんだよね。ま、観たい番組はリアルタイムではなく全部録画して後追い視聴、CMは全部スキップしているボクが言えた立場じゃないんですけど・・・・・。てへぺろ


吉良と高木の“仕事のパートナー以上、恋人未満”的な関係性が良くて、あまり感情を表に出さない高木が、給湯室で彼女に何か言いたげなんだけどそれが言えなくてもどかしい表情を見せる寡黙な松田龍平が、なんかイイ男だった。ニヤリ ま、あのメッセージDVDも彼なりの“告白”とも受け取れなくもないけど。


部長なのになんかOLっぽいノリの松嶋菜々子の妙に軽い演技はあまり好きじゃないけど、問題作『ゴースト もういちど抱きしめたい』での超絶的なボンクラ演技に、観ている間、頭痛が止まなかったあの悪夢に比べたら演技は上手くなって・・・・・・・いる!? ニヒヒ


広告業界のリアリティのなさに世間が関心を示さなかったのか笑えない低視聴率だが、個人的には良くも悪くもないドラマだったという印象デス。

 

 

 

 

グ・ラ・メ! ~総理の料理番~ 65点
(テレビ朝日/全8回/最終回視聴率:5.6%/平均視聴率:5.64%)
Yahoo!テレビ評価/3.84点(263人)


原作:西村ミツル原作、漫画:大崎充による同名コミックのドラマ化。原作は『大使閣下の料理人』の続編にあたり、『大使閣下~』は櫻井翔主演で2015年正月ドラマとしてフジが映像化しているが、ドラマ版はシリーズの関連性は持たせていない。本作のヒロイン、一木くるみは『大使閣下~』の主人公・大沢公の弟子にあたる。ちなみに主演の剛力彩芽も『大使閣下~』では別キャラで出演していた。元公邸料理人の西村ミツル自身の体験を基にした話も多い。


吉田茂政権以来、約70年ぶりに総理任命の官邸料理人が復活。料理人に抜擢された25歳の一木くるみの“メッセージを込めた”料理が要人や政治家たちをトリコにしていく。


『天皇の料理番』『孤独のグルメ』のヒットの影響か日本ドラマ界はちょっとした料理人もの&グルメブーム。秋クールでも天海祐希主演の『Chef~三つ星の給食~』(フジ)や柄本佑主演の『コック警部の晩餐会』(TBS)、そして『深夜食堂』新シリーズ(Netflix)がある。ま、こうもフード系ドラマが多いとゲップばかり出てちょっと食傷気味なんだけどねー。チュー


剛力ドラマは前作『ドクターカー』は即リタイヤしてるので大丈夫かなあ~?と不安に駆られながらの視聴。結果、「思ったほど悪くなかったかも」という印象で話の面白さもしっかりあったし、政治ドラマとしても魅せてくれるものがあったので最後まで完走できた。
 

くるみの料理を食べただけで誰もが「おお!これはぁ!」と惚れてしまう展開は料理の中に惚れ薬でも入ってんじゃねーのか?と勘ぐってしまったが(中には一口しか食べてない人もいたけど)、ま、主人公が作った料理に人々が夢中になっていくのが“グルメドラマの基本”だからね。これはしゃーない。口笛


むしろグルメシーンよりもライバル料理人の高橋一生との料理対決やくるみと阿藤総理(小日向文世)の友情にも似た関係性、総理と対峙する要人や政治家とのバトルがドラマに弾みをつけていたような気がする。照れ


ただエピソードとして弱いと思ったのが総理の2人の娘問題。総理の離婚後、母親に引き取られテレビの政治部記者として働く優子(新川優愛:この人、首長いよね~)と官邸で暮らすちょいネクラ娘の理子(内藤理沙:あの衣装はどうなのよ?)は実の姉妹。特に理子は父親との間に壁を作っちゃっている感じなのだが、結局、その父娘問題がどうなったのか今ひとつ腑に落ちないまま話が終わる。


あと、主人公のくるみは料理1つにかけるこだわりと情熱は異常で、ま、それはそれで観ていて楽しかった。しかし彼女の背景がさほど語られず、それでいて料理を通して“我”を貫く“ほぼ完成されたキャラ”なので、官邸料理人という重要ポストを通して彼女がどう変わっていくのかという成長劇が観たかったという点では正直、かなり物足りなかった。えー


最終回では、「総理を辞めさせる料理」「潮時」という言葉を使って思わせぶり~な展開を匂わせておいて実はそうじゃなかったというオチは簡単に読めたし、総理失脚の政略が失敗に終わる展開は都合良すぎだけど、最後はみんな笑顔で食を楽しむ場面で心地良く終わってくれる。


ただね、秘書官(滝藤賢一)さんよ、そのモジャ毛&無精ひげ、なんとかしろよ!とか、ゴーリキさんよ、料理作ってる時ぐらいはちゃんと帽子被れよ!など細かいところの演出で気になった部分も決して少なくない。


エンドロールでのダンスは剛力パワー炸裂っ!チュー 出演者全員、楽しく踊って終わりましょう!的なシメはこのドラマにも合っている。あ、あと官邸の美術セットと富貴晴美による音楽が良かったな。