シネトーク48『相棒 劇場版Ⅱ』●2作目は『相棒』らしいストーリーでファンを魅了 | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

シネトーク48『相棒 劇場版Ⅱ』●2作目は『相棒』らしいストーリーでファンを魅了

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本日21時から

『相棒 -劇場版Ⅱ- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜』が

地上波初放送。


ということで、2011年1月掲載の

シネトークを一部改訂して復刻トーク!




面白い映画には愛を捧げ、そうでない映画には鉄槌を下す
てるおたくお

ぶっちゃけシネトーク




シネトーク48

『相棒 -劇場版Ⅱ-

警視庁占拠!特命係の一番長い夜』(改訂版)



監督:和泉聖治 脚本:輿水泰弘/戸田山雅司 

出演:水谷豊/及川光博/川原和久/大谷亮介/山中崇史/山西惇/六角精児/志水正義/久保田龍吉/片桐竜次/小野了/原田龍二/神保悟志/益戸育江/小西真奈美/小澤征悦/品川徹/宇津井健/國村隼/岸部一徳


119分/ビスタサイズ/東映配給(2010年12月23日公開)



※ネタバレしてますのでご注意を




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右京さん、ジョン・マクレーンになる(笑)


てるお 「『相棒』はドラマも含めてかなり観てるけど、正直、劇場版1作目は話を無理に大きくしたせいもあってか、あまり面白いと思えなかった」


たくお 「そうだね。なんか『相棒』らしくないなーって。じゃ『相棒』らしいって何だよ?と聞かれたら、『今回の劇場版』と答えるね。文句なしの傑作!とは言わないまでも前作より断然面白くなっている


てるお 「前作はアクション・エンタメに対して、今回は硬派な人間ドラマ。スケールは縮小してるけど、ストーリーの濃密度は高くなってる


たくお 「『踊る3』(←踊る黒歴史)、『SP』(←消化不良のまま終わる)、『交渉人』(←ハリウッド映画のヘタなパクリ)、『猿ロック』(←サルマネ映画)、『海猿3』(←2作目とやってることが同じ)など、ボンクラなTVドラマ映画が多い中、本作が最も完成度が高い」


てるお 「とくにファンを失望させた『踊る3』のスタッフは本作を観るべきだね。ドラマ・ファンのために映画版を作るとはどういうことかしっかり学べ(笑)」


たくお ファンにしてもスタッフにしても、今回は『相棒』のターニングポイント的な作品。意を決したスタッフの挑戦作だと思うよ


てるお 「これまでと同じようなことはしたくない、マンネリ化しない工夫や仕掛けもされてて、スタッフの志、心意気が伝わってくる」


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たくお 「なんかベタボメしてるけど決して関係者じゃないですから(笑)。『相棒』をよく知らない人は『TVと大して変わらない作品に金を払って観るほどのものか?』と批判してるけど、それは違うと思う」


てるお 「スケール感あふれる映画的醍醐味を期待するとちょいと肩透かしかもしれないけど、ハデにドンパチをやるだけが映画じゃない。むしろ『相棒』にドンパチは似合わない(笑)」


たくお 「いきなり船大爆破 → 警視庁籠城という『ダイ・ハード』みたいな展開から始まって、むしろそっちのほうが違和感があった」


てるお 「このまま籠城事件がメインの話だったら、『踊る3』と同じでヤダなあ思ってたけどそうならなくて良かったよ(笑)」


たくお 「冒頭のアクションは本筋のツカミに過ぎなかったわけで、必要不可欠なシークエンスだった」


てるお 右京はいきなり窓から飛び降りてジョン・マクレーンをやっちゃうし・・・・。あんなアグレッシブな右京はなかなか見れんぞ(笑)


たくお 「さすがにいつもクールな大河内もビビッてたね。そういえば『踊る3』でも青島が同じようなことやってたな。邦画では『ダイ・ハード』ごっこが流行ってるのか?(笑)」


てるお 「でも『ダイ・ハード』編は30分ぐらいで終わって、事件の背後に隠された警視庁絡みの“闇”に右京と神戸が挑む話へとシフトしていき、『相棒』らしい展開になっていく」


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たくお 「ドラマでは右京がいつもの事件を追う1話完結エピソードがほとんどなんだけど、たまにスペシャルとかでやる警察や官僚絡みの不正事件を暴く話になると、スタッフの力の入れようが全然違うほどにクオリティが高くなるよね


てるお 「右京たちが権力に屈せず立ち向かうのが『相棒』の最大の魅力でもある


たくお 「今作では警視庁の暗部を右京と神戸が白日のもとにさらそうと奔走する話だけど、脚本がまた良く出来ている」


てるお 「正義とは何かを問うテーマもちゃんとある。『相棒』を観てると、警察って裏で本当にこんなことしてんじゃね?と勘ぐるぐらいの説得力があるよな」


たくお 「警視庁と警察庁が対立するエピソードは100%フィクションじゃないから。捜査方針を巡って意見が食い違うことはさほど珍しいことじゃないらしい」


てるお ドラマでも警察の不正が絡んだエピソードとか実際の事件をヒントにしたものもあるし、社会メッセージ性の高い秀逸な話も多い


たくお 警察関係者を悪として描いた話のほうがファンには人気あるよな(笑)。ま、実際に警察の不祥事も多いし・・・」


てるお 「知り合いに警察官がいるけど、署内でも『相棒』を観ている人が多くて、『踊る』派と『相棒』派に分かれて討論することもあるんだって」


たくお 「討論って・・・・大学のサークルじゃないんだから(笑)」


てるお 「それだけファンが多いってことだすよ」


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たくお 「シーズン化してからもう12年か。実話と思わせるリアルな設定と緻密な描写力が他の刑事ドラマとは違い、これだけ長く愛される理由なんでしょうな


てるお 「普通なら視聴率はドンドン下がっていくのに新シリーズが始まるたびにウナギ昇りだし」


たくお 「前作の劇場版が『相棒』ビギナー向けなら、今回はファン向けといった感じ」


てるお 「一応、本作は“一見さんお断り”なんだけど、意外と本作で『相棒』デビューする人も多かったらしいよ」


たくお 「一見さんは楽しめたのかな? けっこう話は入り組んでいるし、『相棒』慣れしてない人には入り込みにくいかも


てるお 「『相棒』って推理モノでもあるからセリフがかなり多い。謎解きの部分はほとんどセリフと回顧シーンで説明することが多いから、観客も頭の中で整理しながら観なきゃいけない。といってもそんなに小難しいエピソードはないけど」


たくお 「話はちょい複雑なんだけど後半でうまく1本の線につながっていく。でも観てる途中、やっぱり人物相関図が欲しいなあと思った。コイツとコイツはどういうつながりなんだっけ?って(笑)」


てるお 「ま、最近の『相棒』でも、エピソードによっては話を複雑にしすぎたり、二転三転を狙いすぎてストーリーの面白味を壊しちゃってる時もあるけどね」


たくお 「毎回、視聴者の頭がこんがらがってるラスト近くになると、右京さんが解説しながら事件を解決してくれる。『おお、なるほど!』と感心する時もあれば、『なんだよそれ』とツッコミたくなる時もある(笑)


てるお 「でも伏線の張り方とかはやっぱりうまい。今回も國村準の“貧乏ゆすり”のカタカタ音に何かがあると思った。やけにやかましい貧乏ゆすりだったし(笑)


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たくお 「神戸がエレベーターで犯人と遭遇してこにたんを助けるシーンも、初めは『なんでこんなあっさりと逃げられるんだよ?』と思ったけど、そこにもちゃんと意味があった」


てるお 「こにたんも事件に大きく関わる重要なキーキャラ。『踊る2』で青島に助けられた影響からか雪乃さんと同様に刑事になってたとは(笑)」


たくお 過去の悲しい事件が引き金となって犯人が復讐のために犯行を起こすパターンって、いわゆる『相棒』の王道なんだけど、こにたんの好演も相まってなかなか胸に迫るドラマになってるのがいい


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てるお 「ほんと、こにたんはいい女優になったよねえ~。でも彼女の取る行動で分からなかったのが、事件の経緯を記した告発文を上層部12人全員に送ったこと。普通、こんなのもみ消しにされちゃうだろうよ」


たくお 「婚約者でもある捜査員の死の原因が自分にあると自責の念にかられ、何としてでも事件を表沙汰にしたかった、ということでしょ」


てるお 「マスコミにリークしたほうが利口なやり方なんじゃね?」


たくお 「でも証拠が一切なかったからマスコミに告発文を送っても信用してもらえない可能性があった。だから事件の真相を知る意識不明の中国人マフィアを拉致ったわけだけど・・・・」


てるお 「頼みの綱であった証人も死んでしまい、最後の手段である籠城事件を起こす」


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たくお 「で、事件の真犯人である“影の管理官”の正体を知ったこにたんは銃を手に殺そうとするが、右京と神戸に阻まれる」


てるお 「そのあとの右京さんと彼女の対峙は本作での名場面! 『あなたは2人の男性から命をかけて守られていたんです』と右京さんが目を潤ませながら諭すんだよ。泣かせるねえ~


たくお クローズアップで捉えた右京の表情は迫るものがあった。刑事としてではなく一人の人間として彼女を諭す重要なシーンともいえる


てるお 「空気がピーンと張り詰めているんだけど2人の熱演に思わず涙腺が緩んじゃったよ」


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たくお 「いつも冷静沈着な神戸が今回珍しく感情をむき出しにする一幕も


てるお 「旧知の仲である大河内に神戸が『あなたは誰を救うために、何を守るために警察官になったんですか!』と激しく詰め寄るシーンが好きというファンも多い」


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たくお 「これまで培われてきた2人の関係に変化が生じているのも今回の見どころ。ついさっきまで仲良くシャワーを浴びてたのに(笑)」


てるお そして、もう一方の“2人”の関係は重大な局面を迎えることになる





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官房長~~!!!! 驚愕の展開にファン騒然


たくお 特命係の生みの親でなにかと右京を目にかけてきた小野田官房長、絶命す!


てるお 「官房長~~~ッ!!!! 『相棒』のキーキャラがまさかこういう形で“引退”なさるとは・・・・。もう放心状態だす・・・・(笑)」


たくお 「『踊る大捜査線』で室井さんが死ぬようなもの。ファンにとってはこれは衝撃でしょ」


てるお 「どうせ助かるんでしょ、と思ってたらいきなり葬儀シーンだもん。えっーー!マジで!?(泣)」


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たくお 「『踊る1』みたいに死んだと思われた青島が実は寝てました、というようなギャグを期待したんだが(笑)」


てるお 「『相棒』でそういうギャグはやらんだろ。でもあの結末は釈然としないなあ。岸部さんがプロデューサーとモメて降板させられたのかと思った(笑)」


たくお 「小野田官房長が消えることは随分前から決まってたらしく、10周年という節目もあり岸部さんも了承した上での“円満”殉職だったらしい」


てるお 節目で死なせるんかい! 右京と一緒に回転寿司を食べるシーンがもう見られないかと思うと寂しいよー。食べた皿を戻してはいけないことをせっかく学習したのに(笑) ※小野田は回転寿司で食べた皿をレーンに戻すことが何度もあった


たくお 「ファンの間では『官房長、あれじゃ犬死にじゃん』『右京と共に特命係を育ててきた官房長を死なせたスタッフの罪は重い』『あのラストを見せるためだけに今回の映画版を作ったのか!』とか批判の声も多い


てるお 「そりゃファンは怒るでしょうよあんな幕引きじゃ納得できない人も多いだろうし、もっと小野田の死に意味を込めてほしかった


たくお 「あえてああいうあっけない最期にしたらしい。さっきも言ったけどファンから叩かれることも想定したスタッフの一つの“挑戦”なんだと思うよ


てるお 「大切に育ててきたキャラをあえて切ってしまうのって、作り手にとっては断腸の思いだったはず。官房長の死はショックだけど、今回の“決断”は新たな『相棒』の出発点として僕は評価してるけどね」


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たくお 「それか新キャラとして実は小野田に弟がいて、岸部シローが代わりに出てくるとか(笑)」


てるお 「そんなことしたら『相棒』ファンやめるわ(笑)」


たくお 「亀山が引退した時もファンから相当叩かれた。神戸がファンに受け入れられるまで時間がかかったけど、今じゃ立派に相棒をこなしているし」 ※その神戸クンも『相棒』を引退。3代目相棒に成宮寛貴が抜擢され、シーズン11から登場する


てるお 「俺も神戸クンに慣れるまで時間がかかったなあ。『ドラえもん』の水田わさびにはいまだに慣れないけど(笑)」


たくお 刺される直前、『絶対的な正義がこの世にあると思ってる?』と小野田が右京に言ったのは“決別”とも取れる衝撃的な一言だった


てるお 「外務省公邸人質監禁・篭城事件を発端に2人の“微妙な因縁”関係はずっと続いてて、小野田は右京の敵でもあり味方でもあった」


たくお 「警察がもみ消したがる事件の追及をやめない右京と何度か対立したこともあったけど、遠まわしに右京をバックアップしてるんだよね」


てるお 『殺されるならお前にだと思ってたんだけどねぇ』と言い残して息を引き取る最期が切なすぎる!(泣)


たくお 「そのあと、右京がで薄暗い特命係の部屋で思いつめた表情で“ある決意”をするシーンが印象的だった」


てるお 「あそこは監督も思い入れのある場面だと語ってるね」


たくお 小野田の遺志を継ぐことはせず、決して自分の信じたやり方を曲げようとしない右京。それが小野田への“別れの言葉”だった


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てるお 「巨悪にも絶対に揺るがない右京と神戸のカットでジ・エンド。カッコイイわ」


たくお 「はじめは『コレで終わり?』と思ったけど、後々から考えたらあれは見事な締めくくりになってた


てるお 「でもやっぱり事件の顛末が気になる」


たくお 「『相棒』って単純に泣ける、笑える、感動するという分かりやすい作り方をしていない。『あなたの正義を問う』というキャッチのとおり、あえて観客に“結末”を委ねている


てるお 「視聴者に物語の結末を委ねたまま話が終わるのはドラマでも何エピソードかあった。モヤモヤが残ったままなんだけど、この余韻がまたいい」


たくお 「僕はずっと余韻に浸ってたよ。エンドロールに『終わりの始まり』が流れたのも『相棒』にいずれ訪れる“終焉”を思わせるものがあり、感慨深かった」 


てるお 「ネットで調べて知ったんだけど、今放送中のシーズン9って劇場版Ⅱの後の話だったんだね


たくお 「そうなんだよ、官房長がシーズン9に全く登場してないのは既にこの世にいないから。初めは『医龍3』とバッティングしたせいかと思ったけど(笑)。ドラマでは既に知り合いであるはずの神戸と陣川が劇場版Ⅱでは『はじめまして』と挨拶を交わしていたし」


てるお 「でもシーズン9の第9話『予兆』だけは劇場版Ⅱの直前のエピソードなんだよね?」


たくお 「そう。だから時系列的にはシーズン9の9話 → 劇場版Ⅱ → シーズン9の1話~8話、10話~とちょっとややこしい


てるお 「特命係を見守ってきた官房長がいなくなった今、右京や神戸はどうなってしまうんだろ?


たくお 「劇場版Ⅱから今後のドラマへの流れを組んだストーリーがますます気になる」


てるお 「まさかドラマで官房長が死んだことをうやむやにすることはあり得ないだろうから、そこはスタッフが色々と考えてるんだろうけど」


たくお 「スタッフも『相棒』をどう終わらせようか考えているんじゃない? そろそろそういう時期に来ているんだと思う」 ※2012年現在、『相棒』が終わる気配は全然ない(笑)


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てるお 「パンフに『“衝撃のラスト”が全く新しい『相棒』の幕開けとなる』と書いてるからまだ続きそうな気もするけど。おそらくシーズン10で特命係の存続を描いた最終シリーズにして、劇場版Ⅲで堂々の完結編!とかやりそう。テレ朝のことだし(笑)」 ※今秋からはシーズン11が放送される予定


たくお 「『金八先生』も『渡る世間は鬼ばかり』も『水戸黄門』も終わっちゃったしなあ。水谷豊はまだまだやる気満々らしいけど」


てるお 「ただ、惰性でダラダラと続けてほしくない。『最近の相棒はつまんなくなったなあ』と思われないクオリティを保ち続けるのは大変だろうけど続けるにしても終わるにしても“こだわり”を持ってほしい


たくお 「今回の不満はトリオ・ザ・捜一とたまきさんの出番が少なかったことかな」


てるお 「たまきファンとしてはちょっと寂しかったな~。スピンオフで『女将たまき~花の里へおいでやす』とか観てみたい(笑)」 ※そのたまきさんもいなくなってしまった


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●満足度料金

てるお 1200円

たくお 1300円



『相棒 劇場版Ⅱ』  ★★★★




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