ブルーレイ・レビュー17後編●「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ(BDレビュー)
●クオリティ・レビュー
パート3がダントツのハイクオリティ!
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
これまでVHS、輸入盤LD、国内盤LD、DVDと
何百回も観てきた『BTTF』だが、
元々、このシリーズはマスターが良質なので、
総体的にどのソフトもクオリティがいい。
なのでBDでは
もっとHDらしい高精細な画質を期待していたのだが、
衝撃を受けるほどの向上感はあまりなかった。
BD用にリマスターされているはずだが、
一部で粒子の粗いシーンも見られる。
もちろんDVDよりは格段にいいし、
発色の良さも素晴らしく解像感もアップ。
デロリアンの車体の光沢感も増していて、
BD画質としては及第点といったところだ。
画質以上に音の向上ははっきりと分かる。
デロリアンの爆走音やタイムスリップ音の低音は素晴らしいし、
クライマックスの落雷音は圧倒される迫力。
dts-HDマスター・オーディオにより
サラウンドの情報量も増え、音楽も磨きがかかった。
音そのものはオリジナルと同じなので
差し替えられたりはされていない。
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』
前作から4年が経ち、パナビジョン・カメラの性能も
向上したこともあり画質は良くなっているが、
これは他メディア(LD、DVD)も同じで、
BD画質がすこぶるアップしたというわけではない。
なぜか1作目ほど画質が緻密ではなく、
リマスターなんだろうか?と首をかしげたくなるほど。
3作の中では一番、クオリティがイマイチだ。ちょい期待はずれ。
前作と同じで映像のざらつきが散見できるし、
室内や夜の場面など、一部のシーンで
急にボケ気味になり色のヌケが悪くなるときがある。
思ったほどの高画質でなかったのは
何度も合成を重ねているうちにオリジナルの
画質劣化が生じたものではないか、と推測される。
音は1作目と同じでサラウンド力はアップしている。
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』
急に超高画質になってしまうから困ったもんだ(笑)。
西部劇のカラッとした褐色系の画調がBDとマッチしてて、
緻密度では明らかにシリーズダントツ。
色の濁りやザラツキもほとんどなく、
汽車の質感の高い再現力に驚かされた。
パート2と同時撮影されているのに
画質にこれほどの差があるものなのか。
サラウンドもクライマックスに近づくにつれ
どんどんハデさが増し、否応なくシーンを盛り上げてくれる。
あまりのハイクオリティに汽車暴走シーンを3回も観てしまったほどだ。
●仕様レビュー
ファン待望の三ツ矢雄二版吹き替えを収録
BTTFファンとして嬉しいのは
やはりTV版=三ツ矢雄二版の日本語吹替だろう。
DVDでは初回限定で発売された「思い出の復刻版DVD」にしか
収録されておらず、すぐに廃盤になったためプレミア化していた。
僕はそれほど吹き替えマニアではないのだが、
トンガリ・・・・いや、三ツ矢氏のマーティもいい。
(『トイ・ストーリー』シリーズのレックスの声は
オリジナルよりも三ツ矢氏の吹き替えの方が大好き!)
マーティの雰囲気も伝わってくるし、
なるほど、ファンに支持される理由も何となく分かる気がした。
3作品とも三ツ矢バージョンも収録されているが、
マスターの問題なのかパート2吹き替えの音質が悪い。
できることなら1作目には
織田裕二&三宅裕司の幻のWユウジ・バージョンも
入れてほしかったけどね。
でも織田の事務所がNGなんだろうな(笑)。
ちなみにパート3のTV版吹き替えはDVDでは2種類入っていたが
BDはテレビ朝日版のみの収録。
今、気付いたけどクララの声ってメーテルなんだね。
“機関車”つながりで起用されたのかしら?
●特典レビュー
エリック・ストルツ版マーティの映像、ついに解禁
特典は4枚組DVD-BOX「20thアニバーサリーBOX」のものに
初収録の特典を追加したもの。
BD用に新たに収録された特典で目玉はなんといっても
ゼメキスやスピルバーグ、マイケル、リーらが当時を振り返る
新録メイキング・ドキュメンタリー「BTTFの軌跡」。
ここではエリック・ストルツが演じた
幻のマーティの映像も初めて収録されている。
5週間、マーティを演じたストルツだったが、
「“笑い”の要素が死んでしまっている」とゼメキスは
スピルバーグに相談。結局、主演ドラマの多忙で
一度は本作を断ったマイケルに再度依頼し、
マイケルは殺人的なスケジュールをこなした。
ちなみに一時的な“母子”関係だったエリック・ストルツとリー・トンプソンは
本作の間に『ワイルド・ライフ』(未公開)、『恋しくて』の2作で共演している。
インタビューに応じる現在49歳のリー・トンプソンは
今でも変わらないお美しい方でした(‐^▽^‐)。
初代ジェニファー役のクローディア・ウェルズも登場。
実はドラマの撮影とスケジュールが重なってしまい、
1作目でも一度降板していた。
クリストファー・ロイドは送られてきた脚本に
初めは全く興味がわかなかったと振り返る。
また、ゼメキスらが脚本を最初に見せたディズニーからは
「母親と息子が車の中でキスをしている場面なんて
君たちは正気か!?」と一蹴されたことや、
ゼメキスとスピルバーグが『BTTF』以前に組んだ
『抱きしめたい』『ユーズド・カー』『1941』がいずれも不発で、
本作ではかなりプレッシャーがかかっていたことなど
興味深いエピソードが次々に飛び出す。
「幻のエンディング」では
核実験を利用してマーティがデロリアンで未来に戻る
当初の結末を絵コンテと共にボブ・ゲイルが解説。
シーンの予算だけで約100万ドルもかかってしまいボツに。
ただ、もしこの核爆弾版エンディングが採用されていたら
日本ではこれほど支持されなかっただろう。
このアイデアをスピルバーグが
『インディ4』で流用したかどうかは知らないが(笑)。
アーカイブ特典の中で
裸の銃を持つ男、レスリー・ニールセンが案内する
『BTTF NIGHT』という映像も初めて観るが、
どうやらパート2公開直前時の特番のようだ。
ピクチャー・イン・ピクチャーを使った
ユニバーサルBD独自の機能、U-CONTROLでは
DVD特典にあったトリビア字幕
『バック・トゥ・ザ・フューチャー 秘密の扉』や
ストーリーボード映像などを移植。
トリビアはDVD版では英語字幕のみだったが
BD版はすべて日本語字幕付きとなった≧(´▽`)≦。
またトリビアネタも若干増えている。
ただ字幕が小さいので36インチ以下のTVだと厳しいかも。
「マイケル・J・フォックスが語る撮影秘話」は
DVD版は本編映像にマイケルのインタビュー映像を
小画面で同時表示した形で収録していたが、
BD版はマイケルのインタビュー映像のみに変更されている。
パート3の特典では
ユニバーサル・スタジオのアトラクション
『バック・トゥ・ザ・フューチャー ザ・ライド』もフルバージョンで初収録。
でもやっぱりコレは8人乗りのデロリアンに乗って
グロッキーにならないとね(笑)。
44ページのブックレットにはインタビューやキャラクター紹介、
人物相関図、タイムライン解説、キーワード解説など
なかなか読みごたえのある内容になっている。
全作共通特典
■製作 ボブ・ゲイル/ニール・キャントンによる本編音声解説
■未公開シーン集(ボブ・ゲイルによる音声解説付き)
■監督 ロバート・ゼメキス/製作 ボブ・ゲイルによるQ&A
■オリジナル劇場予告編
■U-CONTROL(ピクチャー・イン・ピクチャー)
・徹底分析
・ストーリーボードとの比較
・トリビア
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の軌跡:着想と構想(27分)
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の軌跡:製作秘話(28分)
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の軌跡:音楽(5分)
■アーカイブ特典
・メイキング・オブ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
・三部作の秘密:第一章
・バック・トゥ・ザ・フュ-チャーNIGHT(ホスト:レスリー・ニールセン)
■マイケル・J・フォックスが語る撮影裏話(8種)
■撮影の裏側
・オリジナルのメイクアップ・テスト
・NG集
・幻のエンディング
・フォト・ギャラリー(5種)
■“Power of Love”(ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース) ミュージック・ビデオ
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の軌跡:続編の製作(28分)
■タイム・トラベル分析(8分)
■アーカイブ特典
・メイキング・オブ「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」
・三部作の秘密:第二章
■撮影の裏側
・NG集
・プロダクション・デザイン
・ストーリーボードの制作
・デロリアンのデザイン
・タイム・トラベルの映像化
・ホバーボード・テスト
・視覚効果の制作過程
・フォト・ギャラリー(5種)
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の軌跡:新たな挑戦(17分)
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の軌跡:メッセージ(17分)
■アーカイブ特典
・メイキング・オブ「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」
・三部作の秘密:第二章
・カーク・キャメロンが解き明かす「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作の秘密
■撮影の裏側
・NG集
・ヒル・バレーのデザイン
・ポスター・デザイン
・フォト・ギャラリー(5種)
■“Doubleback”(ZZ Top) ミュージック・ビデオ
■三部作FAQ(日本語字幕なし)
■バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド
●『バック・トゥ・ザ・フューチャー』評点
作品:10.0
画質:8.0
音質:9.0
サラウンド:8.5
特典:9.5
総合:9.0
●『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』評点
作品:8.0
画質:7.5
音質:9.0
サラウンド:8.5
特典:9.0
総合:8.4
●『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』評点
作品:8.5
画質:9.0
音質:9.5
サラウンド:9.0
特典:9.0
総合:9.0
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