4月に発表された本屋大賞。

本屋大賞はあまり外す作品がないので毎年注目はしていますが、今年は面白そうな作品が多い印象です。

 

今年はこれまで知らなかった宮島未奈という作家さんの「成瀬は天下を取りに行く」という連作短編集が大賞を受賞しました。

滋賀県大津市が舞台ということで、特定地域ネタで読者を選ぶかもとの懸念はありましたが、比較的手軽に読めそうなので手にしました。

 

 

ネタバレになるので、内容には触れませんが面白かったです。

主人公はある意味スーパーヒロインで性格、才能ともに現実感は薄いのですが、周囲の登場人物にリアリティがあるのでその組み合わせの妙がこの小説の魅力だと思います。

特に前半の2作品は主人公と同世代の若い人たちが一度しかない青春時代を思いのままに過ごすきかっけにつながるような爽快感があるのが良くて、自分も含めた年配の読者も若い時代の夢を再び感じる良い素材だと思いました。

 

もう1冊はフォローしているブログで紹介されいた青山美智子の「リカバリー・カバヒコ」。

表紙のカバーがこの本がハートウォーミング系であることを想像させてくれます。

 

 

実際はこの小説は悩める人たちのリカバリーの物語なので少し重めの入りですが、それぞれが何とか自分の途を見つけていって、先に光が見えるような感じです。

この小説は最終章がとてもよくできていてとても好きになりました。

青山美智子さんはそういえば「赤と青とエスキース」で伏線の張り方がすごい作家さんだと思い出しました。

この「リカバリー・カバココ」は連作が少しずつ重なった構成にはなっていますが「赤と青とエスキース」のようなあっと言わせる伏線の絡み合いはなく、シンプルに物語の流れに乗って読んでいき、小さな世界での心の振れ合いを感じてみるのが良いと思います。