今日は午前中に少しだけ休日出勤してから大学時代の友人とランチ。

先月久しぶりに会った時に入院の話をしたので心配して連絡をしてくれたのですが、心臓の手術なのに術後の負担が少ないことに驚いていました。

小生が入院明けで禁酒、友人はもともとあまり酒を飲まないので室町コレドの洋食屋さんへ。

 

ハンバーグはソースが濃厚でしたが、下にマッシュポテトと茹でたキャベツが敷いてあってしつこすぎないようにしてあってなかなかでした。

アメリカをほぼ1周して最後はサンフランシスコにある友人のホームステイ先で1週間くらいお世話になった卒業旅行の思い出話で盛り上がりました。

 

話が尽きなかったので喫茶店にはしご。

小生が20歳台後半30歳代前半の激務時代によく息抜きに行っていたこちらのお店へ。

「ミカドコーヒー」、日本橋室町の本店よりも旧軽井沢のお店の方が有名かも知れません。

ここでよく頼んでいた名物の「モカソフト」と「ブレンド」をまとめて注文。

モカソフトの程よいモカコーヒーの香りはやっぱり秀逸で、ブレンドコーヒーも専門店ならではの香りとコク。

どちらも昔ながらの美味しさ。しかし、だいぶ高くなったなあ。

 

今週の読書は2017年の直木賞受賞作、佐藤正午の「月の満ち欠け」。

映画化もされていて純愛ものかなと思って、村上春樹「国境の南、太陽の西」の口直しになるかなと思って手にしたのですが、確かにある意味純愛ものではあるのですが、読後感としては更に重たい小説でした。

 

以下、内容にもかかわるのでネタバレを避けたい方は読まないでください。

 

不幸な夫婦生活のなか、不慮(ひょっとしたら自らの意思もあったのかもしれません)の死を受け容れつつも、その直前に出会った最愛の恋人にずっと寄り添うために、胎児に憑いて転生してその恋人を追い求める女性の姿を描いています。

取り憑かれた少女は7,8歳のあたりで人格が乗っ取られ、再会の目的を達成しようしますが、人格、行動の変化が両親の人生をゆがめてしまいます。

この小説のすごいところは、魂がオーバーラップしていくなかで、登場人物が苦悩し、転生の事実に向き合ったり向き合わなかったりまたは精神のバランスを崩していく姿を描き、最後にすべての事実をまとめ上げてラストに持って行く構成力だと思います。そこが直木賞受賞の要因なのかも知れません。

「死んでも寄り添いたい想い」と「死」を両立させるための転生、異様、異常な世界のなかでほとんどの登場人物の人生は不幸な方向に向かって行ってしまうのですが、主人公の二人の想いは最後に成就されることになります。

ただ、その過程が重すぎて、登場人物がほぼみんな不幸になって行くので、ハッピーエンドでも、ハートウォーミングでもない。純愛も行き過ぎるといいものなのかということを考えさせられる小説だと思います。

 

最初の方の二人の主人公の純愛にまつわる短歌をめぐる世界はとても美しいのですが、それがそこからはじまるオカルトチックとも言える展開との落差を出す狙いであったとすれば、ものすごい仕掛けだなと。あと、最後にもう一つ隠された仕掛けが明らかになり、ストーリー構成の妙を感じます。

ポジティブに捉えるならば、相手を想う恋愛の究極の姿を表現しているといえるかも。それにしても読んでいてやや胸が苦しい。

 

この小説は素晴らしい作品ではあるのですが、テーマを受け容れられる方にのみおススメという感じだと思います。

 

「荒城に白百合ありて」、「国境の南、太陽の西」に続きこの作品と重たい恋愛小説が続いたので、何か、読後感の良い恋愛小説はないかな~。