わたしは水藍の横顔を眺める。
黒い瞳、切れ長の目。化粧っ気のない肌は、つるりとしている。
小さな頃、わたしたちはとてもよく似ていた。
水藍とは従姉妹だから、別段おかしくはない。
むしろ今、似ていないことの方が気になる。
友人やクラスメイトも、知り合いは皆が言う。わたしと水藍が「全然、違う」と。
(あぁ。一人だけ、)
一人だけ、わたしと水藍を似ていると言った。
「幸村(コウムラ)、」
わたしと水藍は同時に振り返る。
副担任の紫藤(シドウ)だ。
若いせいもあるのだろうが生徒から慕われている。
女生徒から人気なのは、その甘いマスクだろう。
「二人いてちょうど良かった」
彼だ。
「後ろ姿だと、特に似ているな。まぁ髪の長さで判るけれど」
彼だけだ。
ただ一人、わたしと水藍を「似ている」と言った人だ。