水藍は「本当に?」と心配そうな眼を向けている。

「ホントホント。大丈夫。ちょっと寝不足だっただけ」

 彼女は「寝不足、」と小さく繰り返す。

 水藍の方が慢性的に寝不足なのだ。

 夢をよく見ている。それに眠りが浅いのか、物音で目覚めてしまう。

 そういえば祖父の家に泊まった時も、わたしがトイレに起きると水藍は起こさなくても一緒に行ってくれた。

 わたしは八須を見た。

 それから水藍を。

「菖蒲?」

 水藍の視線も八須に向かい、またわたしに戻る。

「時間なんてあっという間だって、」

 突然、口を開いたわたしに彼女は首を傾げる。

「水藍」

 名を呼ぶ。彼女の身体がぴくりと反応した。それは緊張した反応だったのかもしれない。

「水藍がわたしに合わせて、水藍のやりたいことをやれないのは哀しいわ」

 紫藤(シドウ)は「別々の人間」と言って、わたしたちが同一視していることを心配していた。