違うかもしれない。

 水藍の気持ちが、海であれ紫藤であれ、誰かにあるのなら。わたしは、実は嫌なのかもしれない。

 だから今まで指摘して来なかったのかもしれない。

 わたしが指摘したことによって、彼女が気付いてしまうかもしれないから。

(水藍には幸せになって欲しい)

 それなのに。

 わたしは水藍がわたしから離れるかもしれないことが嫌なんだ。

(寂しい?)

 そうかもしれない。

 けれど、違うかもしれない。

(紫藤先生なら、やっぱり反対だわ)

 彼は教師だ。

 海なら、やっぱり反対するかもしれない。

(水藍を誰かの代わりにするのは許せない)

 彼らでなければ良いのかしら?

 水藍が良ければ、良い気がする。

(でも今のところ、水藍のことを解っているのは、あの二人くらいだわ)

 今はまだ、わたしたちの世界が狭いからだろうか?

 『時間なんてあっという間』と紫藤は言った。

(本当に?)

 時間があってもあっても足りない。

 わたしには、そう思える。