教師は教室に入って行く。僕も自分の教室に入る。

 教師の言葉が繰り返される。

『辛い時、笑う人間』

 彼の言葉に秋平の様子を思い出す。

 秋平だって辛かったはずだ。

 だって秋平は何も知らなかった。それは僕も知っている。

 他の、僕と同じような一般生徒と同じように今回初めて知ったのに。

 同じ野球部だったから、部員全員が責任を負うのか。

 秋平だけでなく、野球部でも知らなかった部員は他に何人も、いただろうに。

 小さく溜め息を吐く。

 渋い茶色の机から、古びた木の匂いがした。

『好い天気だ』

 秋平は青い空を見上げていた。

 彼は青い空に何を見ていたんだろう?