願わなければ叶わない。
 祈らなければ届かない。

 でも。

 俺の望みって何だっけ?



 ベンチで拳を握りしめた昨年の夏。

「いよいよだね、」
「もうそんな時期なんだなぁ」

 友人たちの言葉に同意する。

「今年は勝つ」

 俺の宣言に「頼もしい」と励ましてくれる。

「応援に行くからね」

 力強く言う女子たちに男子の方が圧倒されている。

「サンキュー」

 俺の言葉に男子たちが安堵したように苦笑する。

「静矢(しずや)くんなら勝てるよ」

 友人たちの無邪気な言葉がチリリと俺の胸を突く。

 励ましてくれているのだろう。応援してくれているのだろう。

 それなのに。

 どうして僅かとはいえ苛立ちを抱いてしまうんだろう?

「静矢、」

 人だかりの隙間から俺を呼ぶ少年。

「宮治(みやはる)」

 彼は「ちょっと借りるね?」と友人たちに否を言わせぬ微笑を浮かべた。