ビルの窓。よく磨かれたガラスに制服姿の女の子が写っていた。
「俺は割と好き勝手してますから。せっかくできた妹に少しくらい、還元しないと」
彼女が俺に罪悪感めいたものを抱いているのに気付いてはいた。けれど、それで俺に何が言えただろう。
本人が口にしないことを暴きたてるのも、出過ぎているようで、俺もまた口に出来なかった。
そうして互いに遠慮しあって、ぎこちなくなった。
ただ、彼女のことは解る気がした。
学校の、友達のことや家族のこと。
(息が詰まる)
俺にも覚えのある感覚だから、解る気がした。
それなら彼女がそこから抜け出す手助けができたら、と。
「俺は社長や尚真さんたちに助けてもらいましたし」
社長は「ふん」と鼻を鳴らす。照れているのだ。
「まぁ予定と狂ったところはありますけど、」
俺は社長と尚真さんを交互に見た。
「ありがとうございました」
二人は微笑を浮かべるだけで口を開かなかった。
「そろそろ出た方が良いんじゃない? 今日は実家に帰るんでしょう?」
尚真さんの言葉に腕時計を確かめる。
「はい。ありがとうございました」
もう一度、伝えると店を後にする。
(何かスイーツでも買っていこうかな?)
俺は、彼女が息を抜ける場所があれば良いと思った。
尚真さんのところが、そうなれば良いと思ったけれど都合良くはいかないと内心では抱いていた。
俺は「ふぅっ」と大きく息を吐く。肩の力が抜けた気がする。
「さて、帰るか」
口の中で呟く。
肩の荷も、軽くなった気がしていた。
了