ちらほらと疲れたサラリーマンが増えて来た。私は帰宅しようと席を立つ。

 レジでお金を払う時、何気なく傍らの雑誌ラックに目をやった。そこに一冊の音楽雑誌が差してあった。

 若い読者をターゲットにしたJ—POPの雑誌だった。確かクラスメイトが読んでいた。

 誰が読んだって良いとは思う。思うけれど。

(お店の雰囲気とは違うんじゃない?)

 微かな違和感を抱いたが、店員とのレジ遣り取りですぐに忘れてしまった。

 店を出て溜め息を吐いた。

 律樹は今日も現れなかった。

 律樹が現れなかったことにがっかりしている自分がいる。そして、それに驚いている。

 翌日はさすがに行けなかった。金銭的な面で。

 高校生のお小遣いでは毎日カフェ通いなどできない。

 しかも行ったところで私はただボケッと、いつ現れるかわからない律樹を待っているだけだ。

(私、何がしたいんだろう?)

 本当に、何をしているんだろう。