きっと解る。
そう思えたばかりなのに、私の気持ちは目的地に近づくにつれ重くなる。
律樹がいたら。高いお店だったら。何も解らなかったら。
マイナス思考が邪魔をする。
同時に打ち消すプラス思考も浮かぶ。でもまたマイナスの考えが浮かんでしまう。
ぐるぐる回転する心に目が回りそうだ。
息を軽く吐く。
私は足を進める。律樹が立ち寄ったビルを通り過ぎた。看板を盗み見したけれど、通り過ぎ様だったのでハッキリとは読み取れなかった。
律樹の会社と取引があるのかしら。彼を知っている人はどのくらいいるかしら。
会社内での、律樹の評価はどうなのかしら。
信用されているかしら。
私には、律樹がいつも軽薄そうに見えてしまうけれど。
他の人からは、どう見えているかしら。
カラン、と鈴が鳴る。
「ありがとうございました」
扉を開き、客を見送る男の人。しばらく見送ってから、向き直る。
目の前で扉が開いたから、私は立ち止まっていた。
彼は私を見て「こんにちは」と微笑んだ。