私は身体を起こす。ベッドに腰掛けた体勢のまま、乱れた髪を手櫛で直した。

 チャイムが鳴る。少し置いて扉の音が遠く聞こえ、足音が聞こえて来る。

 甘い香りも強くなった気がした。

 私はベッドに腰掛けたままだ。

「御崎(みさき)さん? 開けますよ」

 保健医がカーテンを開ける。強さを増した光に目を細める。

 促され、椅子へと座る。

「平沢くんと何かあったんですか?」

 誰も彼も、私と葛をセットで考えている。

「葛ちゃん……平沢くんといないとそんなに変ですか?」

 彼は瞬きをした。微笑して「そうですねぇ」と肯定のような、ただの前置きのような曖昧なことを言う。

「平沢くんと何かあったんですか?」

 質問が戻って来た。

 私は首を横に振り「いいえ」ときっぱり否定した。

 彼は「それなら良いんです」と目を伏せた。

「仲が良いなら良かった」

 そう笑みを湛えている。