私は保健室のベッドで横になる。

 ブレザーは掛け布団の上に掛けた。生徒手帳が入っているせいか、そこだけ布団が少し沈んだ。

(葛ちゃんは、何を思っているのかしら)

 思考は葛のことばかりだ。

 以前、陽(あきら)が言ったことが思い出される。

 彼女は「友達っているのかな」と口にした。全部でなくとも話せる友達がいるのか、と。

 私は何と答えたのだろう。

 私は忘れていたけれど、その問は、とても重要だったのではないか。

(葛ちゃんは誰に話すのかしら?)

 辛いことも楽しいことも。彼には、話せる友達がいるのだろうか。

(お兄ちゃんたちのこと、誰かに話したかしら?)

 思考は巡らせているのに。布団のふわふわとした心地好さに、鈍くなってゆく。

 瞼がゆっくり下りてくる。目を開けようとしても、すぐに下りて開けていられない。

 私は誘惑に負け、瞼を閉じる。強張っている身体から力を抜いた。

 抵抗を諦め、この心地好さに身体を預けた。