店員さんがメニュー表を示す。メニューは決まっており、ドリンクを選ぶ方式のようだ。

 私は陽に任せ、店内の雰囲気を眺めていた。

 以前、来た時より客席が少ない。テーブルとイスを動かしている。

 出来たスペースに、電子ピアノらしきもの。

(演奏があるんだ)

 私たちを招き入れた店員さんが時計、客席を確認する。手に「貸し切り」の札。入口にその札を掛け、扉を閉めた。

彼は店内を見渡す。他の店員さんたちと目配せする。頷いて、合図する。

 即席のステージに女性が現れ、ピアノの前に座る。

 ウェーブのかかった髪をひとつに束ね、薔薇をあしらったシュシュをつけている。クリーム色のワンピースに、その髪飾りは良く映える。

 彼女の指がゆったりと動いた。

 静かに、優雅に、彼女の指が音を作る。その中を店員さんたちが給仕に動いている。