陽が唸る。

「変な話をしちゃってごめんね、陽ちゃん」

 彼女は首を振る。

「けっこう大事なことだと思うよ」

 陽は口を閉じる。

 また沈黙が流れる。

「平沢がヒメって呼ぶたび『違う』と思うなら、たぶん本当に違うんじゃないかな」

 やはり先に口を開いたのは陽だ。

「あのさ、」

 躊躇うように、言葉を切る。

「ヒメが言うから、言っちゃうけど」

 歯切れが悪い。

「平沢が『ヒメ』って呼んで傅いているのは、周りを牽制している気がするんだよね」

 私には陽の言う意味が解らない。

 先ほどの言葉と同じだ。

「価値を吊り上げて手に入れにくいようにしている。自分のいないときは、例えばわたしみたくボディーガードをつけて」

「ボディーガードなんて、」

 否定しようとした私を「例えば、だよ」と制す。