僕は隈を指摘しそうになるが飲み込む。女の子だし、そういう指摘は嫌だろう。

「またオススメがあったら教えてください」

 僕が「良いよ、また何かあったら」と答えると「はい」と明るく去ってゆく。

「俺には目もくれないのに」

 友人が呟く。ふてくされている。

「可愛くねーし」

 デカイくせに口を尖らせられても。彼が舌打ちした。

「海(カイ)、」

 たしなめるように名を呼ぶ。

「だって実際、俺はほったらかしじゃん?」

 僕は言葉に詰まる。彼を慰める言葉が浮かばない。

 彼は彼女が、水藍がお気に入りだ。

 けれど。その気に入っている、ということはどういう意味なのか。

 単に後輩としてなのか、それとも少しでも恋愛要素があるのか。

(あれ?)

 僕は友人の顔を見上げた。

「海って、何で水藍を知ってンだ?」

 彼は「いや、」と目を逸らした。