流れは相手チームにいってしまった。それを引き戻せるか否か。

 静矢はどうするのか。

 ユキは深呼吸する。大きく息を吸って、深く吐く。

 爪がベンチの端を掻く。石のベンチは「がり」と乾いた音をさせた。

 首筋がざわざわする。冷静でいるのに、落ち着かない。脳は冷静なのに、心はざわついている。

 ここを乗り越えれば、とユキの口からこぼれる。

 上手く言えない。直感めいたものがある。

(ここを抑えれば先が見える)

 けれど。

 ここで失点すれば、仲間たちの糸が切れる。

 ぞわぞわする。暑いのに、鳥肌たっている。

(これは、静矢の、)

 ユキは己の腕をさする。

 これは多分、静矢の感情だ。