仕方がない。

 ユキには判らないのだ。

 ハルの感情も、佐倉の気持ちも。

 佐倉の、芦田に向ける感情やその時の佐倉の心なら、たぶん判るのに。

 今は試合時間だろうか。
 芦田は試合に出ているだろうか。佐倉は。

 佐倉は、芦田を応援したい気持ちと悔しい気持ちとが混ざり合っている。

 けれど芦田を心の底から、まっさらに応援できないことに後ろめたさを感じる。

 芦田の試合出場を喜んでいるのに、嬉しくない自分がいる。

 そんな部分を少しでも否定したくて、誰にも悟られたくなくて、他の部員たちより声を張っている。

 まるで今、目の前で見ているかのように、判る気がした。