少年は焼け落ちる城を見つめながら届かなかった手を、伸ばし続けた。

 その手はやがて血と泥でぬかるんだ地に落ち、伸ばす力を失った。

「届かない」

 紫藤は呟く。芦田は口唇を結んで、紫藤の話を促しているようだ。

「少年は最期に、そう思ったんだ」

 それは物理的な距離にも、心理的な距離にも受け取れた。

 彼のいる城に届かないのか。彼という存在に届かないのか。

 どちらにも取れたが、どちらも正しくて、どちらも違うような気がした。

「少年の意識と逆に、俺の意識はそこで目覚める」

 芦田が息を吐く。

「それで?」

 紫藤は驚いた。それで、と促されることなど想定していなかった。

「それでって? それで、終わりだ」

 声が掠れたのは、驚いたからだ。