仕方ない。

 夢だからどうしようもない、と判ってはいても。人を斬る行為は嫌なものだ。

「敵衆の狙いは領主の首だ。彼は彼の主を守るために、城に向かって行った」

 だから、と言ったが次の言葉が出て来ない。

「だから、置いていかれた?」

 芦田は紫藤の意図を汲んで続けてくれる。

 紫藤は頷くだけだ。

「お城には、お姫さまもいたでしょう?」

 芦田の言葉に、ハッとした。

 少年に同調するあまりに失念していた。

 城主に嫁いだ姫が、彼の従妹がいた。本家に養子に入った際、妹になった彼女が。

 彼が城に向かったのは、城主を助けるためだけだろうか?